ブタブタ

パンチドランク・ラブのブタブタのレビュー・感想・評価

パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)
4.0
エミリー・ワトソンと彼女に恋する男の恋路を邪魔する男がフィリップ・シーモア・ホフマンと言うのは『レッド・ドラゴン』とも共通していて、その男が極めて暴力性の高い異常で危険人物というのも共通していてここでもホフマンは最後は殺されるかと思いましたが。

公開当時、その頃は才能溢れるクリエイターとして高い評価を得ていた某お笑い芸人が自身の映画評論コーナーで本作を「わざと自分は頭おかしい、とかやって天才のふりする奴がいて大抵凡人。この監督はその典型」と酷評していたのですが、今思うとその芸人が作りたかったのはこういう作品で自分が考えてた事を先に見事にやられてしまった事に対するみっともない嫉妬だったのかなと。
その芸人は、まあ松本人志ですが後に映画制作に乗り出し無残な失敗に終わったのは周知の事実ですけど、それまで散々自分が映画評論で語っていた事がのちそのまま自分に帰ってきてしまってみっともない醜態を晒すハメになったので自分の発言には責任を負うこともクリエイターの前に一人の社会人として大人として大切な事だと思ったのでした。(余り関係ない話し)

古き良き時代のコントやお笑いを今の映像や美術・画面のデザインに落とし込んで長編映画とし成立させる。
日本で言えばコント55号のドタバタや植木等の『社長シリーズ』など日常にパラノイアが出現する事によって世界がコントの様に変貌して行って、その世界そのものも物理的におかしい事や有り得ない事も起きても「そういうこと」として成立する。
『パンチドランクラブ』は50~60年代アメリカの映画・ドラマ、コメディの舞台を現代にした作品ですね。
その頃のアメリカ映画については詳しくないのですが虹色や青の帯や星空のアニメーション・フレアもクラシックな表現ですね。

バリーが詐欺グループから逃げる場面も白と黒い影のコントラストや迷路の様な路地、ヒッチコック映画みたいな絵でこんな所もクラシック映画からの引用なのかなと思いました。

エミリー・ワトソンて不思議な魅力を持つ女優で役者さんですね。
オバサンぽい(失礼)のに何か可愛く、劇中では理屈抜きでモテる。
『リベリオン』でも主人公の(精神も)ひいては世界そのものを改変する切っ掛けとなるヒロインを演じてましたが、安っぽい表現ですが日本だとラノベによく出るいきなり主人公の前に空から降ってるくる女の子みたいな。

それと七人の姉の一人エリザベスが『24』でお馴染みのクロエでしたね。
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