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パンチドランク・ラブの白のレビュー・感想・評価

パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)
5.0
プライドと愛の幻想をかけたデュエル。
真横から途切れることないロングテイクがカッコいい。
他者との繋がりを持ちたくても持てず居場所に困る、或いは追い詰められて動くことができないキャラクターが文脈の中で活かされながらユーモアを醸し出すと同時に、それらに内在する欠陥が画面に固着した不穏さの正体をあからさまにする。
アダムサンドラーの主観的不安が映像と音響に滲み出ているのも良い。
PTA流ロマンスサスペンスの強度、つまりキャラクターがいつどこで決定的破滅をするのか、それを見届けるべく、画面に過る不穏な影を我々は追跡し、残酷な欲求を満たそうとする。
愛が漲り、世界をねじ伏せようとする過程で不幸にうねりだす全体の行く末が、巧みな緊迫と緩和のバランスを以て観る者を深く動揺させずにおけない。
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