トムヤムクン

憂鬱な楽園のトムヤムクンのレビュー・感想・評価

憂鬱な楽園(1996年製作の映画)
4.0
気だるげなインダストリアル系ヒップホップをBGMに、うだつの上がらないチンピラ二人とその女が、チャンスを求めてグダグダと移動している映画…なんだけどもその移動は時間的にも空間的にも、どこかに向かって行くことができていない。どうしようもない現在に囚われてぐるぐると堂々巡りを繰り返している。ついには脱線して本当に動けなくなってしまった。最初の十分らしき場所をはじめ、メシを食うシーンが印象的だ。
向かうべき場所として上海やアメリカなど海の向こうの国が措定されているあたり、盟友エドワード・ヤンの『台北ストーリー』を考えずにはいられない。あの作品も進み出せない男の話だった。
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