馮美梅

ザ・コーヴの馮美梅のレビュー・感想・評価

ザ・コーヴ(2009年製作の映画)
2.0
「何も感じない」

やたら太地町のイルカの追い込み漁に対して「秘密(=陰でコソコソしている」を連呼しているのだけど、それって別に知る必要があるのか?知らないことは悪なのか?別に秘密にしているわけではないと思いますけどね…

インタビューの中で、日本人が食べる為に、イルカが殺されているとを知っているか?みたいなことを聞かれて「知らない」という反応に対して、やはりおかしいみたいなことを表現しているけれど、日本人でも、自分が住んでいない地域で、どんなものを食べているのか、同じ食べ物の様でも全く違う形・味のものはたくさんあるし、「こんなの食べるの!」と想像を絶する食生活文化があります。それをあまりにも過剰に表現し過ぎている。

イルカの笑顔は嘘だと、元調教師が言っているけれど、結局、それも人間が勝手に思い込んでいるだけで、事実、イルカ達が何を考えているのかなんてわからない。

自分たちの民族が利害の為だけに無駄に鯨を殺戮し、乱獲しておいて、少なくなったからと言って、本当に生きていく為に大切な資源の一つとして大切にしている人たちまで、自分たちと同じようだと非難するのはどうなんだろう?

頭が良い動物は殺してはいけないけれど、そうでなければ殺して食べても良いというのはどうなんだろう?野生動物たちは「こいつらは俺らよりも知能レベルが高いから食べてはいけないんだ」とか「こいつらは絶滅するかもしれないからこれ以上食べる為に殺してはいけない」なんてそんなこと考えているのだろうか?

そんなことを言う人間こそ、一番エゴイスティックで傲慢なのではないだろうか…

この世に生きていく上に、どんな生命も、何かを食べていかなければ生きていけない、鑑賞することと食べることを同じに考えてはいけないと思う。

可愛いと思うことと、食べることは違うと思う。
大切なことは、殺して食べるにしても、それらに感謝し、恵みを大切にいただくこと、食べる、食べないということは、あくまでも自分の感情と嗜好の問題で、それを一方的な押し付けにしてはいけないのではと思う。

同じような作品で「鯨捕りの海」(1998年日本作品)という日本人が作成した捕鯨に関するドキュメンタリー作品があるらしい、ぜひこの作品を見た人はこの作品も機会があれば見てどう感じたのか判断してもらいたいです。

作品としての見せ方は確かに、中だるみすることなく、見るものを惹きつけるものはあるが、作品としての本質的な内容はと言えば、如何なものなんだろうかということで☆2つにしました。
馮美梅

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