風の旅人

ウォンテッドの風の旅人のレビュー・感想・評価

ウォンテッド(2008年製作の映画)
3.5
「怪物と戦う者は、その過程で自らも怪物とならぬよう気をつけねばならない。
深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いているのだ」
(ニーチェ『善悪の彼岸』)

しがないサラリーマンのウェスリー・ギブソン(ジェームズ・マカヴォイ)は、自分の人生に失望し、自暴自棄になっていた。
恋人を会社の同僚に寝取られ、上司には言われ放題。
そんな時に現れたのが謎の女暗殺者フォックス(アンジェリーナ・ジョリー)だった。
フォックスから父親が暗殺者で裏切り者に殺されたことを知らされたウェスリーは、暗殺者に転職する決意を固める。

ジャケットからアンジェリーナ・ジョリーが主役だと思ったら、まさかのマカヴォイが主役!
アンジェリーナ・ジョリーが主役だったら、もっと面白い作品になったのではないかしら?
映画で息抜きをするような人間はどこか人生に失望しているはずだから、主人公に共感できるだろう。
権力を持った人間の暴走、掟を盲目的に信じることの怖さ。
ターゲットの排除を優先させ、民間人を危険にさらす暗殺集団フラタニティは怪物的組織であり、それと戦うウェスリーもまたその過程で怪物となった。
自らの怪物性を認め、あのような選択をしたフォックスに惚れた。
風の旅人

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