しろくま君

トレインスポッティングのしろくま君のネタバレレビュー・内容・結末

トレインスポッティング(1996年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

すごい。息を飲む。この時代に同じテーマで、同じ脚本で映画を作ろうとしてもこれほどのクオリティのものは二度と作れないと思う。音楽も俳優もファッションも最高だった。

醜いものや汚いもの、性、生、死を見事にそのまま描いていた。目を背けたくなるような汚さをひとつも鮮やかにすることなく描いていて前半部分は特にリアリティを感じた。

ドラッグに依存すること。それはけして素晴らしいとは思えないし彼らの人生はくそったれで友情も薄っぺらでどうしようもなかった。ただ快楽がそこにあり、嫌なものから逃げ出して生きていた。そこから主人公は這い上がろうとしていたが、また元の道に戻り、そして最後に改心して人生を改めようとしていた。しかし、彼はこれで最後にすると口にした。ドラッグをやめようと決意した時のように。彼は何度も最後にすると言って何度もドラッグに手を伸ばした。だからきっと、彼はすぐ悪事を働くか、ドラッグに手を伸ばすだろう。でも、それでも彼の心は腐っちゃいない。腐ってないから笑うのだ。

最後のセリフは視聴者に対する皮肉がよかった。人生なんて長く生きたって大したことは無い。薬漬けになってドブの中で人生終わろうと年金たらふく払って貰う前に事故死しようと変わらないのだ。何かに依存していてもカッコよかったらいいなって思えた。