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空軍大戦略のHKのレビュー・感想・評価

空軍大戦略(1969年製作の映画)
3.8
クリストファー・プラマー追悼その1(所有DVD鑑賞)。
今までC・プラマーは英国人だと勘違いしていた理由の一つが本作(単なる言い訳)です。

第二次大戦のダンケルクの戦いの後、英国が独軍の侵攻から本土を守り抜いた有名な空の戦いを描いた作品(原題:Battle of Britain)で、ローレンス・オリビエ、トレバー・ハワード、マイケル・ケイン、ロバート・ショウ、エドワード・フォックス他、名立たるイギリスの名優たちと並びC・プラマー(当時39歳)も序盤から登場するイギリス空軍の主要人物の1人ですから、これは英国俳優だと思い込んでも無理ありません(言い訳ですが)。

今回の訃報で今さらながらプラマーがカナダ出身だと知りましたが、当時のこの戦闘には英国だけでなくカナダやポーランド他のパイロットも参加していたようで、wikiによるとプラマーの制服にはしっかりカナダ空軍の縫い取りがあるとか(今回再見しても全く気づきませんでした)。

本作は史実に忠実で極力フィクションを廃した作り(と言いながらプラマーは数少ないプライベート・シーンで胸毛を披露)ですから、淡々と話が進みドラマとしての盛り上がりを期待すると物足りないかもしれませんが、パイロットたちが緊張しつつも単調に待機と出撃を繰り返していた(その度に人が減っていきます)空気が伝わってきます。

当時のイギリスとドイツ双方からの視点を比較的平等に描いている点、それぞれちゃんと母国語で話している点(独軍はクルト・ユルゲンスやカール=オットー・アルベルティといったドイツ人俳優が演じています)などは『トラ!トラ!トラ!』などとも通じるノンフィクションの面白さを感じました。
また、軍の仕事に従事していた女性が多かった事実も描かれています(映画だから美人が多すぎますが)。

しかしなんといっても本作の主役は飛行機と空中戦。
CGの無い時代ですからコピペなんかできるわけなく、実際にあれだけの数の空軍機が飛んでいるのは実に壮観です(急降下爆撃機スツーカのシーンのみ精巧なラジコン模型)。
爆撃が遠方からどんどん近づいてくるシーンも迫力の臨場感でした。

西ドイツ・イギリス・アメリカの合作。監督は『ゴールドフィンガー』他007を4本撮った英監督ガイ・ハミルトン。
音楽は『素晴らしきヒコーキ野郎』『荒鷲の要塞』のロン・グッドウィン(ウィリアム・ウォルトンとのダブル・クレジット)

イケメンなのに変質者からクリンゴンまで、そして高齢になってからも多くの作品で我々を楽しませてくれたC・プラマーのご冥福をお祈りします(今思えばプラマーがサイコ・キラーを演じて女装までした名作『サイレント・パートナー』はカナダ映画でしたね)。
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