アランスミシー

アメリカン・ビューティーのアランスミシーのレビュー・感想・評価

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)
5.0
4回目、
神視点=隣の家の住人、
『FはファミリーのF』


《息子・リッキーフィッツ》賢者
大麻=リベラルの象徴

《父・レスターバーナム》挑戦志向→安全志向
男としての成功(モテる)為なら、自分の弱さを隠す(筋肉という鎧で)
広告業界や不動産業界で働く妻との家庭というアメリカ資本主義の組織体制に抑圧され、元来あった筈の妻や娘に対する特別な意識や拘りを捨て縦横無尽に自由を謳歌するようになった
しかしある日イヤイヤながら出向いた娘のチアダンスショーで”特別な少女”を見つけてしまう

《母・キャロラインバーナム》安全志向→挑戦志向
不動産屋としての成功(数字)の為なら、自分の感情を自制する(頬を引っ叩く)という競争主義=挑戦志向
「鼻が高かったわ、一度もミスらなかったもの」という娘に対する発言は、オリジナリティを出す事よりもミスらないという安全志向を基準にした考え方

《娘・ジェーンバーナム》安全志向→挑戦志向
隔たりなくあらゆる人種、階層、キャラクターの友達と遊んでた幼少時代、しかしアメリカの学校にまで浸透してしまったヒエラルキーに囚われ同じ種族の友人としか付き合わなくなってしまったジェーンだが、ある日隣に越してきた、拘りの(社会通年に強制された)タイプとは真逆の男と試しに付き合ってみる事で自分がかつて持っていた隔たりのない心を取り戻す。

《娘の親友・アンジェラヘイズ》挑戦志向→安全志向
男にそういう目で見られても良いという、モデルとしての成功の為なら自分のプライバシーや感情を二の次に回すという競争主義=挑戦志向

親からは愛情ではなく、より美しくなって親を喜ばせる事(エゴ)を求められて育った
結果、成功の為なら自分のプライバシーすら全て捧げるに至った

《父・フランクフィッツ》安全志向→挑戦志向
自分のアイデンティティ(ゲイ)をマチョイズムで覆い隠す。

レスターの筋肉とフランクのマチョイズムが一致
リッキー「おやじは僕がバイトして(全コレクションを集めて)ると、無理にそう信じてる」
↑本当は分かっていながら、逃避してる
=受動系→リベンジ勝利


最後に、レスターが殺された理由
①表面的理由
フランクフィッツ自身がゲイである事が世間にバレないため
②メタファーとしての理由
保守主義者がリベラル主義者(より挑戦欲求的で自分の本能を解放してあげる考え)を受け入れられずネガティヴなエンディングを選択


1回目、
こんな風に興奮した、脚本、演技、演出の組み合わせは久しぶりだ。
紀子の食卓を観た後の気分だ

アメリカン・ビューティー
=ライフ・イズ・ビューティフル
&アメリカの抱える問題

この絶妙なカラリングのミヒャエル・ハネケっぽさがたまらない

脚本の例でよくあげられる分けをやっと知れた。
何かテレビシリーズっぽいと思ったら脚本からだったのか。
アラン・ボールはこれ以外あまり映画脚本は手掛けていないみたいで、10本以上のテレビシリーズで脚本を書いている。

でもやっぱり美術や演出も何かホームドラマっぽさがある
そこが良い意味での全体の特徴だった気がする