よしや

アメリカン・ビューティーのよしやのレビュー・感想・評価

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)
3.7
冒頭で主人公のケヴィン・スペイシーが自分が殺されることを語り、物語はそれに向かって動いていく。登場人物それぞれが家庭の崩壊を通して殺す動機を持つようになっていく展開は上手い。がミステリーではなくあくまでも人間ドラマとして見せてくれる。

アメリカンビューティーという薔薇の品種をモチーフにしたサム・メンデスの演出は暗く美しい。ミーナ・スヴァーリの美しさも言うまでもないだろう。音楽も良い。

平穏なアメリカ社会の裏側にある暗く倒錯的な面を描いた作品としてはデヴィッド・リンチの「ブルーベルベット」を彷彿とさせる。

冷え切った家庭、子と親の確執、浮気、麻薬、銃、ゲイ、虐待、浮気、右翼、ホームビデオ、チア、ワークアウトなどといういかにもアメリカを象徴するモチーフをこれでもかと散らし、1つの中流家庭をアメリカそのものとして描いている。
特に印象的なのは主人公の妻の仕事でもある不動産。マイホーム信仰と住宅ローンであるモーゲージはアメリカの中流社会のまさにシンボル。

この作品はアカデミー賞で5部門受賞、興行も大ヒットした。本当にアメリカ人はアメリカを描いた作品が好きなんだな。
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