Haruna

アメリカン・ビューティーのHarunaのレビュー・感想・評価

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)
3.0
フライヤーにもあるように
“バラ”をはじめとした“赤”がこの映画の象徴。

一見何の変哲もないアメリカの裕福な家庭に見えるのに、実は家庭内は冷めきり崩壊寸前。
そんな中家族それぞれにキーパーソンが現れ瞬く間に崩壊していく様子を描いている作品。

冴えない父親×娘の可愛くモテる友人
感情の起伏が激しい母親×不動産王の男
気だるくいつも無気力な娘×サイコな隣人

一緒に過ごしている家族なのにみんなそれぞれ違う方向に目を向けていてバラバラなのが見て取れる。

この映画で特に印象的なのはバラを官能的に使いエロさを表しているところ。
真っ赤なバラの花びらというのもまた印象的。
またそれに合わせてカメラのカットの仕方(何度も繰り返したりアップで撮ったり)や艶かしい指先の動きなどがエロさをゾクゾクとこちらに伝えてくる。

途中この映画に違和感を覚えたのはタイトル。
何も美しさを感じなくてなぜこのタイトルなのかと気になりググッたらタイトルはバラの品種名らしい。
ドロドロした内容に相反するタイトルを付けることで皮肉ってると知り納得した。

映像的に好きなのは
銃声が鳴った後に家族それぞれのその瞬間を順番に流すところ。
こういう表現は映画でしか出来ないし
それぞれがその瞬間に何を思ったのかがわかりやすいのと
銃を撃った犯人が必然と分かるのも
この撮り方のいいところ。

なぜかこの映画を見ると自分のことを見せられている複雑な気持ちになった。
それはきっと私自身が外面を気にして中身がない人間だからなのかもしれない。
Haruna

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