hajime363

アメリカン・ビューティーのhajime363のネタバレレビュー・内容・結末

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

「美しいものがありすぎると、それに圧倒され僕のハートは風船のように破裂しかける。そういう時は体の緊張を解く。
すると、その気持ちは雨のように胸の中を流れ、感謝の念だけが後に残る」

↑美しいものを見て多幸感に包まれた時あるある。良い文章ですよね。 (映画最後のナレーション)

世間から見た幸せ風を装うことに必死なアメリカの中流家庭を軸に、登場人物が相互に作用しながら価値観が変容する様(群像劇)を通じて人生における“美しさ”とは何かを問いかける作品。そんな感じです。
各キャラの“体裁”への固執とリッキー青年の“美”に対する執着は良い対比構造ですね。

生きてると、美しい瞬間ってありますよね。
ただそれを感じるために生まれてきたんだな、って感じの。
作中、象徴的に描かれるのは“風に舞う白いビニール袋”
クリスマスの二週間くらい前の、乾燥した、風の強い日。どこか皆そわそわしてる空気感。そんな印象を受けました。美しい映像です。

全体としてはコメディーだと思いますが、演出が巧みでサスペンスとしてもドキドキする。

銃、大麻、筋肉、要素はアメリカ的なんだけど、テーマとかは落語に近かったり(人間の業を笑いで肯定するという点)
リッキー青年の美に対する執着は三島由紀夫の「金閣寺」を思い出した。何となく親近感を感じる日本人の私です。良い映画です。
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