ひろせも

アメリカン・ビューティーのひろせものレビュー・感想・評価

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)
4.4
サイコ野郎がサイコなことをするだけの
中身がなくてつまらない映画が溢れかえるこの頃。(最近見たのだと悪の教典)

この映画の冒頭ビデオ映像のシーンは「あっ、これもか」と予感させるが、違う。
一見普通だが崩壊しそうな家族が、それぞれの道を踏み出そうとする時間を描いたドラマだった。

ビジュアル・あらすじを見ると、美少女に運命を狂わされた男の話のように見えるが、そういう俗な想像をしてしまう人に向けた映画なのかもしれない。私もその一人で、思い通りに翻弄させられた。

最初のビデオシーンからして俗な設定で、主人公一家も平凡、美少女なんて俗物の象徴のような描かれ方をしているが、だんだん普通や平凡などと言ってられなくなる。

それぞれの人生。
子供には親の親としての一面、夫には妻の妻としての一面しか見えなくて平凡だつまらないなんて思う。
でもやがて長い一生を生きた一人の人間として見れるようになる時が来る。それはふつう、相手か自分が死んだ時に初めてその人生を俯瞰して見て思うんだろう。

俗物の象徴の彼女が「私平凡?」と聞く。
「美しい」と返す主人公。
もう一つの俗の象徴、赤い薔薇は美の象徴でもあり、主人公に生を授け、最後を見届ける。平凡=美
平凡が一番、という日本人の前倣え精神と見かけが似ているが本質が全く違うのが面白い。アメリカン・ビューティ。

世の中物も人も俗で薄っぺらいもので溢れている?そんなことはない、と希望をくれる映画だった。
ひろせも

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