MERAーメラ

アメリカン・ビューティーのMERAーメラのレビュー・感想・評価

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)
4.9
これほどまでに人間の内面や成長を繊細に映した映画はあるのだろうか。これほどまでに成長の原動力に人間らしさを持たせたドラマがあるのだろうか。

 人間の本音をちょっとした表情の変化で示したり関係性を紐解けるシーンが散りばめられていて、人間の内面の複雑さ・建前と本音のギャップを繊細に表現したキャスト陣の演技がみんな凄かったです。(例えばジェーンがリッキーに撮られるシーンのジェーンが微かに魅せる表情の変化、ゲイを軽蔑するリッキーの言葉に対するフランク大佐の一瞬の間に映る表情など・・・)
どんなキャストにも持つ善と悪、精神的な弱み、外面だけ良い姿など・・・奥行きある人間像と変化を上手く描いていて後述する映像面に仕組まれた仕掛けと合わせて見応えがあったかな。

 だけれども私はこの映画のストーリーの結ばれ方とメッセージ性が素敵だし、メッセージ性が垣間見える映像や台詞の同期が最も素晴らしい見どころだと思います!

 この映画ではアメリカの核家族の崩壊を通じた「世間体に縛られたライフワークの在り方」/「家族というありふれた幸せ・家族愛」を風刺する表層的な部分も素晴らしいけど、皮肉にもその風刺を通じて家族愛や暖かみを取り戻すヒューマンドラマ映画の要素という二面性をもった部分が個人的には最高な作品だと感じました!それを感じさせる台詞に実はこの映画の実態を示す予兆を担っているのが良かったかな。例えば家族の在り方を暗示するバディ・ケーンの初対面、キャロラインが口ずさむ歌詞やラジオで聴く言葉がもたらす意味など・・・そこに一種の"貯め"が入る構造は凄く上手いし面白いです!

 あとこの映画が素晴らしくて素敵な映画なのはライフワークに正解・不正解もなければ決まった型なんてないんだよと二面的なトーンで伝えるところだと思います!
家族が崩壊した所以というのは偏にレスターだけでなくレスターの家族から生まれる価値観の相違、バラバラに別れるところ・・・だけど、それは個性の尊重と家族というコミュニティの両立と譲歩の難しさを描いているとも感じました。そこに対して幸せ、引いては美学の感じ方も人ぞれぞれであるけれども家族というコミュニティでは幸せ/美学の選択は選ばなかった大切なものを捨てるという覚悟を問われる。
この家族という在り方をレスターのライフワークや彼の余波で変化するレスター家/フィッツ家で魅せるところにこそ、個人のライフワークと世間体という美学の間について考えさせられる普遍的なテーマがあると感じます。・・・だけど最後の最後には家族の暖かみを各々が取り戻すという微かに、けれどもほろ苦い余韻を残すところがこの映画の素晴らしい見どころです!

そんなアート性が重厚な映画だけれども映像で魅せるエンタメ性の部分もオススメです!
変化やギャップを"ひとつのモノ"で伝えるのが好きで、特に"バラ"を使った演出と"バラと音楽で"転換する構造は特に好きなシーンです!

 言いたいことが多すぎてまとまらないけど、まだ見ていない人は是非チェックしてみてくださいね。
歴史的な背景も数多く散りばめられていて、見るたびに良さが増えていく作品じゃないかと思います。

また見よっと!