RAY

アメリカン・ビューティーのRAYのレビュー・感想・評価

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)
3.9
『20センチュリー・ウーマン』を観てから、アネット・ベニングをもう一度観たくなったのが、鑑賞の理由だったのですが、サム・メンデス監督作品であると言う点も重要なことでした。


非常に難しい問題を描いた作品だと思います。
少なくともバレンタインに観る様な作品では無かった様な気もしています(この日がバレンタインであることは忘れていた)。
また、この映画は視点によって、随分感想が変化する作品でもあるのかもしれません。


この作品において特徴的なのは、家族構成の対比です。
特に、“父親の立ち位置”の描き方については、現代社会においてはこの様な悩みを抱える家庭もあるのかもしれないとも思います。

僕がこの作品を通じて思うところは、“家族”と言う集合において、言葉を伝え合う、想いを伝え合うことがどれ程重要であるかと言う点です。
この映画においては、男性の立場を指摘することによって描かれましたが、葛藤は男性であれ、女性であれ、どちらもが抱えるものだと思います。
それでも、その葛藤を葛藤から怒りや憎しみに変化させない為に必要なことは、日頃から感謝を伝え合ったり、リスペクトし合ったりすることなのだとあらためて思うのです。

確かに、家族は特別な存在です。しかしながら、特別な存在であるからこそ、友人や恋人に感じる以上に悲しみを覚えたり、怒ったり、憎んだりすることもあるのだと思います。

社会の変化と共に、家族の在り方も変化するのでしょう。
それでも、父が父である事は変わらないし、母が母である事も変わりません。
兄弟であることだってもちろんです。
色んなことが変わってしまっても、その事実だけは変わらない。
人は見た目程強くないからこそ、言葉があるのではないでしょうか。
それが分かれば、大事にしなければいけない事も見つかる様な気がします。


アネット・ベニングの演技はもちろん、父親を演じたケヴィン・スペイシーの狂気も素晴らしかった。
役者さんそれぞれが、その役を存分に引き出した事で、この作品の表現するものが際立った映画でもあると思います。


観て良かった。
RAY

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