つかれぐま

アメリカン・ビューティーのつかれぐまのレビュー・感想・評価

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)
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<普通じゃない人々>

内容はコメディなのに、ノワール調の陰影濃い撮影。誰が殺した?のミステリーかと思わせ、それが誰かはどうでもよくなっていくストーリー。こうした個性で本作はジャンル映画の枠を越える。

同じく作品賞を本作の20年前に獲った「普通の人々」のような家庭崩壊劇だ。ただし本作の登場人物はみな「普通じゃない人々」。別の言い方をすれば、アメリカという社会が、そもそも人が普通、平凡に生きることを許さない仕組みに思えてならなかった。普通や平凡を願う人には居場所のない国。かの国に生まれなくて良かったとつくづく思う。と言いつつ、アメリカ映画は大好きなんだけどね。

主人公レスターの気持ちを、同じ中年男子として「わかってしまう」自分も怖くなった。ケビンスペイシーの新作を観ることはもうないのかな。じつに惜しい名優(怪優?)だ。まさかと思うが、本作まで観れなくなることも、絶対ないとは言い切れず。早めに見ておくのが正解か。

他の作品賞候補は、
グリーンマイル、シックスセンス、サイダーハウスルール、インサイダー。