みほみほ

アメリカン・ビューティーのみほみほのレビュー・感想・評価

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)
3.8
🌹2020年319本目🌹

ケヴィン・スペイシーが好きなので、前からずっと気になってはいたけど…勝手なイメージから気が進まなかったやつ。いざ観てみると、想像してた内容と全く違って、意外にもシリアスな事に驚く。(もっと官能的な恋物語だとばかり思ってた…笑)

前半はスペイシーが惚れた娘の友達の性格にムカつき過ぎて…こいつ最後までずっと出てくるのか…と思いながらイライラして観てたんだけど、行き着くラストで得た感情は全く違うもので、想像もしなかった景色だった。観て感じた不快感を、ちゃんとすくい上げてくれるラストスパートに感動すらした。

笑っちゃうようなシーンも多いし、正直私はスペイシーのその類い目当てで観たようなもんなんだけど…🤭こんな衝撃的な最後を迎えるとは思いもしなくて固まった。所々、音響がショーシャンクだった(笑)


しかし、芸術的に観て、死をあんな綺麗な描き方しているものは初めて観た。まるでアートのよう。最後に顔を覗き込む隣の青年がニコッと笑った事で、言葉は発してないけれど、「綺麗だ…」と言っているように思えた。

にしても…
娘の友達に惚れて、接触しようとしたり、筋トレ始めちゃう父親もやばいけど、かなり自分勝手で、家族を言葉で支配しているような奥さんも観ていて相当ムカムカした。
完全にお母さんに実権があって、人の気持ちを考えてない。不倫した後にバレて、逆恨みしだすのは…もはやサイコ。


笑える要素とシリアルさが調和して、独特な雰囲気を放っているが、スペイシーの妄想シーンの魅せ方が素敵で、薔薇の使い方や色彩のインパクトが凄かった。しっかりそれぞれの家庭問題や個々の闇を描きあげていて、どんな人間にも人には見せない弱みがあるけれど、それを見せずに生きていた事への衝撃の方が強かったので、最後に妙に感動してしまった。(人は見かけによらないなぁ…)


クリス・クーパーも大好きなので、ケヴィン・スペイシーとのシーンは最高でした。しかし彼は父親役が似合いすぎて、特に過激な人間だと映える。ちょっと厳しそうだけど、あの鋭さが堪らなく好き。


人間は誰しも、大小あれど…何かを秘めながら生きている事に気付かされる作品。人を発言やイメージで判断し、嫌いになりがちな自分には、とてもダメージがありました。


(どうでもいいつぶやきなのですが、豊胸手術の為にお金を貯めていた娘が…普通に脱いだら巨乳でびっくらこいた。どんだけでかくなりたいんだ…!青年よ、そこを突っ込んでくれ…と思いながら不思議に思いました(笑))
みほみほ

みほみほ