Chirico

ノエルの不思議な冒険のChiricoのレビュー・感想・評価

ノエルの不思議な冒険(1983年製作の映画)
3.8
「まあるい命」「なごり雪」で有名なフォークシンガー、イルカさんが声優、音楽、キャラクターデザインを手掛けたほっこり作品。
幼少期にVHSで相当観ました。

主人公ノエルは、犬(?)のキンノスケと自然あふれる惑星で暮らしています。
とても暑い夏の日、ノエルは「おひさまもさぞあついでしょう。そうだ!おひさまにアイスクリームを届けに行こう!」と思いつき、キンノスケとともに二人乗りの万能マシン、ノエル号に乗って旅立ちます。
(おひさまのせいで暑いんでねーの?などとは、こどもだった私はツッこまない)

ノーヘルで宇宙をゆっくりと進むノエル号。途中ファッションの星キカザリ星に寄った後、おひさまにアイスクリームを届け、いっしょにジョギングをします。その際二人は、おひさまから、どこかの星から排出されているスモッグについて聞かされます。やがて工場のある街にたどりついた二人は、小児喘息を患うキツネの子供、コン吉くんと出会います。コン吉くんも工場のスモッグのせいで苦しんでいるのですね。彼は「小さくてもいいから青空が見たい」と、ノエルに言います。
ノエルは友人のヒーロー、くじらのすーさんに連絡を取り、青空を開いて欲しいと相談します。
全体的にネイチャー・ミニマム思考なノエルさん。テーマとしては、公害問題などを取り扱ったお話になるかな。スモッグとヘドロの描写がえらく怖かった…。
声優陣がわりと豪華で、おひさまを小林亜星さん、くじらのすーさんを新沼謙治さん(これサイコーだった)、スモッグの親玉を笑福亭鶴瓶さんが演じておられました。ついでに犬のキンノスケは、イルカさんの長男のお子さんが演じていらしたそうです。かわいいぞ。

一本のミュージックビデオとしての特徴も持っていて、ストーリーと曲と映像が融合してました。
「サラダの国から来た娘」「いらくさ姫の伝説」「きみのマーチ」「川崎のキツネさん」など、素敵な曲の数々にほっこりさせられます。曲のバックの映像もサイケデリックだったり、ファンタジー物語調だったり、色んなニュアンスが楽しめた。曲の幅が広かったんですね。

特に「いらくさ姫の伝説」が最高だった。
オトナになって、どうしてももう一度観たくなった私ですが、当時まだ再販しておらず、しかたなく中古レコード屋をめぐり、中古サントラレコードを発見して購入します。
そしたら「いらくさ姫の伝説」が何故か収録されておらず、さらに調べて「我が心の友へ」というレコードを再度購入し、やっと聴くことができたのでした。まだ音楽のデジタル販売や、ダウンロード販売が定着していない時代だったのでした。
一連の調査中に、イルカさんのファンサイトでノエルの話をし、「こうこうこういうわけでこのレコードを探してるんです…」という相談をしたところ、うちにVHSあるからよかったら観に来ますか?と隣県のご婦人にご厚意を示され、優しさに震えた記憶があります(人見知りなので丁重にお断りした)。

今はサントラもDVDも再版されているのですね。
ようつべでも一部観られるみたい。
もし子どもが生まれたら必ず購入してしまうでしょう一本です。
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