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ウィッカーマンのhasseのネタバレレビュー・内容・結末

ウィッカーマン(1973年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

演出4
演技3
脚本4
撮影4
照明3
音楽4
音響3
インスピレーション3
好み4

メイデーの祭りの生け贄が行方不明の少女だと思っていたら、警官自身が誘い出されていたというショッキングなオチ。考えてみれば少女が行方不明というタレコミのソースが不明という分かりやすいヒントが提示されていた。10代の少女というのが如何にも古代宗教におけるスケープゴートっぽく、その「っぽさ」を逆手に取った上手い仕掛けだと思う。

人間を生け贄にすることの倫理的問題はあるが、主人公の警官の態度も問題があると言わざるを得ない。キリスト教と真反対の性におおらかな古代ドルイド教を不道徳的だと頭ごなしに断罪し、改心させようとするのは、かつての植民地主義的イデオロギーであり、それこそ時代錯誤だ。この映画で警官と住民たちいずれが正しいと提示されるわけではないが、警官が最期、ウィッカーマン(ドルイド教の供儀で、巨大な人形の檻に家畜や人間を入れて焼き殺す祭儀)で神に祈る姿の虚しさが印象的だ。

しかし、警官は中年に見えるが、キリスト教の教えに厳格に従って童貞を守り抜いたのはスゴい。もうすぐ結婚する予定だったが、まさかその童貞を守り抜いたことが仇となり、生け贄の適性に引っ掛かってしまうとは皮肉が効きすぎている。
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