Qちゃん

フォーリング・ダウンのQちゃんのレビュー・感想・評価

フォーリング・ダウン(1993年製作の映画)
3.7
地球温暖化が過ぎて次世代中には人類破滅するんじゃなかろうかと言うほどそこら中で猛暑となっておりますが、みなさまお元気でしょうか。

暑すぎて頭も湧きそうという時に思い出すのが本作。茹だるような夏の日に、いろいろ積りに積もってついに何かが切れた男がそこら中で爆発する。冒頭の、猛暑の交通渋滞で主人公が感じる不快指数の高さが、90年代の映像の荒さと、嫌な感じでポイントを押さえたカットの数々と相まって、ちょっと猛暑日の真っ昼間に見たことを後悔するくらいにバッチリ感じられた。

でもそんなのあくまでも序章でしかなく、狂った日常の数々に直面する中で、主人公の精神がどんどん崩壊していき、それと共に典型的な中間層の白人男性が日常的に抱える現代アメリカへの様々な不満がつらつらと列挙されていく。
不当解雇、無情な金融機関、理不尽なカツアゲ、誇大広告、心無い商店の対応、予算消化のための無意味な工事、金持ちの道楽などなど。
まさに暴力装置付き文句タレゾウ。←ピタゴラスイッチのやつ

特に、移民や二世に対して蔓延る世間の偏見や差別については、主人公だけでなく周囲の様子からもよく見える。マイケルダグラス演じる主人公はほとんど逃げ隠れしてないし急いでないのに、白人男性が(金も地位もない)有色人種を酷い目に遭わせたことを信じてもらえなくて訴えが何件も有耶無耶にされていく様子に、個人的には実際にありそうな怖さを感じた。

彼の中で微妙な線引きがあるのが、またリアルな感覚。彼自身がイタリア系の二世という設定の上で、アフロアメリカンやゲイにはあまり偏見なし、移民はアメリカに住むなら英語をちゃんと話せ、でも人種差別主義者と一緒にすんな、と。
別途、90年代の話&映画ということもあり、女性への扱いや対応が各方面すごく雑。

社会の理不尽さと不合理さに翻弄された悲哀はあるものの、主人公は主人公で妻子とは元々確執あるっぽかったし、「急になんなんですかアナタ」という迷惑の掛け方して、誰がどう考えてもやり過ぎだったので同情はできないですな。。しかしこれ見て共感で涙出そうになったアメリカの父親たちも、いる、、のかなぁ。。うーん。。
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