青二歳

NINIFUNIの青二歳のレビュー・感想・評価

NINIFUNI(2011年製作の映画)
3.5
2222のゾロ目にちなんで、アニメweekから脱線して"而二不二(ににふに)"をmark。「二つにして二つでない(一つである)」という仏教用語をタイトルにした中編映画。
男の死と躍動するアイドルの生は、決して交わらぬ二にして一である。
男の死に顔越しに見るももクロたち。あの構図がとても良かった。ある視点からは異なるふたつであるが、流転する衆生の大きなうねりにあってはすべて一つであるという事だろうか。

途中までは“ににふに”よりも"諸法無我"を考えていたのですが、わざわざ“ににふに”をタイトルにしたのはなんだろうと…あれやこれや考えてしまう。
特に男の死とアイドルを二項で考えていたのだけど、ラストのテロップでニュース記事のように死んだ男の情報が流れてきて、また視点が追加されたことに気付く。
毎日のニュースで流れたとしても聞き流すであろう男たちの強盗傷害という犯罪、その希薄さ。第三者の私たちにとっては希薄であろうとニュースバリューを消費するにとどまるもの。アイドルのPV撮影も、現場でどれほどのエネルギーが使われていても第三者にとっては消費するもの。男の死もある面から見れば大きな意味をもつ一生の終わりだが、ある面から見れば消費される情報に過ぎない。しかし二にして一である。死は厳粛にそこにある。“ににふに”が示すものは限定的な事象に限られることなく拡がっていき思考が止まらなくなる。
タイトルの力ですね。多分“ににふに”という言葉がなければここまで引き込まれることはない映画だったと思う。

メイキングには脚本家もプロデューサーもこれという主題を言及せず、観客に投げかけそれぞれ解釈してもらえたらと言うような事を仰っていたので、ににふにふにふに…(๑¯ω¯๑)と色々好きに考えさせてもらいました。
「これあるによりてかれあり。これ生ずるが故にかれ生ず。」
答えは出ません。
青二歳

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