しばいぬたろう

アイガー・サンクションのしばいぬたろうのネタバレレビュー・内容・結末

アイガー・サンクション(1975年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

『アイガー・サンクション』('75)
The Eiger Sanction / アメリカ合衆国 / 英語

本作はかなり欲張った作品で、アイガー北壁登山とサスペンスを取り入れたスパイ映画。
原作はトレヴェニアンによる同名小説で、そちらは続編「ルー・サンクション」という図書がある。

ポール・ニューマン主演予定だったが、監督のイーストウッドが主演することになった理由は不明。
しかし、クリント・イーストウッドがとにかくカッコ良く、スタントはほぼ無しで登山シーンをこなしたというのだから驚きだ。

主人公の肩書が、「元スパイで引退後は大学の美術史の教授であり、古美術品の収集家」という時点で複雑な作品。
古くからの友人であり、命の恩人で元同僚のスパイが何者かによって殺されたことにより、今回だけ現場復帰する。
同僚を殺したと思われる人物と接触するため、趣味の登山を本格化させて、前人未到のアイガー北壁制覇を目指す。
複雑すぎて段々訳が分からなくなってくる。

恐らく本作はサスペンス要素よりも登山シーンを優先したと思われる。
山岳シーンは圧巻で景色も綺麗。
練習では様々なタイプの山を登るので、雄大な自然を楽しむことができる。

道案内の女の子が登場し『八甲田山』を思い出すのだが、『八甲田山』のような絶望感は全くない。
雪山の恐怖や恐ろしさを描いたアイガー作品を観たい方には、『アイガー北壁』というドイツ映画の方を勧める。

空からの映像を多用しており、ドローンの無い時代としては、空中からの撮影に手が込んでいる。
恐らくヘリコプターを使用しているようで、アイガー近辺の丘の上にいる主人公を映したシーンで急に突風が吹いている。
しかし、ヘリコプターの影も映らないように展開されているので、全く違和感がない。

そこまで重要でない役どころの人がたくさん登場し、肝心の犯人疑惑の三人が似ていて区別がつかない。
その点が一番のマイナスポイントで、自分はサスペンスに全く集中できなかった。
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