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浪花の恋の物語のhrt2308のレビュー・感想・評価

浪花の恋の物語(1959年製作の映画)
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近松門左衛門の人形浄瑠璃をベースにした悲恋物。

堅物の飛脚問屋亀屋の養子忠兵衛(中村錦之助)は仲間の丹波屋八右衛門(千秋実)に連れられた郭で梅川(有馬稲子)と出逢い恋に落ちる。そんな中、小豆島の商人・藤兵衛(東野英治郎)は梅川を身請けする話を郭の主人・治右衛門(進藤英太郎)に持ちかける。それを知った忠兵衛は客から預かった大金を梅川の身請けに使おうとする、、、。

その一部始終を作家の近松門左衛門(片岡千恵蔵)が見聞きしている。あくまで話の本筋に割り込んでくることはないが、そこを見つめる眼光は鋭い。その成行に同情しながら自らの魂を込めた作品を書き上げる。

優れた脚本、きめ細かい演出、素晴らしいセット、そして主役の二人を始めとする役者の上手さ。
奥行きのある広々としながら隅々まで目の行き届いたセットの豪華さに当時の日本映画界の好景気が見てとれるようだ。

監督の内田吐夢は円熟期を迎え堂々たる演出に隙がない。錦之助の演技も同様。この後、このコンビは宮本武蔵五部作へと進んでいく。
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