みゅうちょび

告発の行方のみゅうちょびのレビュー・感想・評価

告発の行方(1988年製作の映画)
3.5
ジョディ・フォスター若いなぁ。

この映画、本当に、構成というのでしょうか?良く出来ていると思います。

公開当時も弁護士役のケリー・マクギリスがレイプ体験があったことを認めたり、映画の中のレイプシーンの長さなどからもかなり物議をかもし、テレビでも何度も放送されたのでご覧になった方も多いでしょう。

ジョディ・フォスター演じるサラが恋人と喧嘩した夜、憂さ晴らしに訪れた酒場で出逢っ男を含め3人の男たちにレイプされたことを告発するという話で、さらに事件の現場を傍観し、囃し立てた3名の男たちを「教唆の罪」で訴え、勝訴するまでを描いています。

この映画で注目するのは、もちろん「傍観すること」「囃し立てて教唆すること」が裁判において犯罪行為と認められるのかというところですが、人ひとりの行動や言動が、いかに他者に大きな影響を与えるかということや集団の怖さなど、事件現場のシーンで非常に分りやすく描かれています。

もうひとつ注目したいのは、サラと弁護士のキャサリンの関係です。

荒れた生活をしているサラが身も心もボロボロになるような体験の中で出逢った社会的に成功している一人の女性との関わりから、明らかに影響を受けていく様が描かれていると思います。
言い方は悪いのですが、このレイプという体験があればこそ、サラは今まで見たことのない成功した人たちの世界を垣間見ることになるのです。弁護士は自分の味方のはずと信じていたにも関わらず、一度は裏取引でことを片付けられ、裏切られはしたものの、サラにとってキャサリンは憧れの存在。どんな形でもそんな社会的に認められた女性と近づきになり、しかもその人はこんな自分の話に耳を傾けてくれる・・・ サラが彼女に認められる人間であろうとするひたむきな姿がそこにはあります。もちろん、サラ自身の実直さや前向きさ、芯の強さがあってこそ、最終的にキャサリンも彼女を一人の女性として認めるようになるのですが・・・ 

法定で証言する日、恐らく初めて着るスーツに身を包んだサラの姿が、実に印象的に象徴的に、わたしには見えるのです。あぁ、サラが、今度スーツを着るときは、いつなんだろう・・・なんて、考えてしまいました。

この二人の関係から、人がどうやって人と関わり影響を受けて行くのか・・・人生の中での出逢いの大切さを深く感じる映画でもありました。
みゅうちょび

みゅうちょび