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あゝ声なき友のmhのネタバレレビュー・内容・結末

あゝ声なき友(1972年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

全滅した部隊のたったひとりの生き残りが、預かった遺書を渡すため、戦後八年かけて遺族のもとに届ける話。
正統派のお涙ちょうだいかと思ったら、そんなことはなく、むしろこちらの予想を外し続ける変化球ばかり。
ようやく見つけたら家族を殺して死刑になってたとか、戦友の奥さんに横恋慕した男とか。予想なんてできるはずもない。
そういった訪問先の人間模様と、戦後の混沌を主人公の渥美清とともに巡っていく。
主人公が小器用なのも面白くて、板前としての腕はあるし、旅芸人たちに混ざってもうまく雑用をこなしていく。渥美清のはまり役ってわけではないんだけど、出てくるひとがオールスター俳優陣でそういった部分も楽しかった。
精神疾患で隔離されてる奥さんとか出てくる。のちにどうやってこの伏線を回収するのだろうと思ってたんだけど、まさかのやりっぱなしでびっくりした。
「残飯シチュー」のことをこの映画では「進駐軍シチュー」と呼んでいた。
山形の温泉宿は、いまと形態が変わらなかった。
戦地で所在を確かめたかったら、「役所から部隊長あてに公文書でたずねる」という方法があったらしい。
ラスト、なんでこんな遺書を配り歩くなんてことをしていたのか自分で気がつく。怒りが原動力だったのだ。
もういやになったという結論も新しかった。
面白かった。
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