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ナイルの娘のkyokoのレビュー・感想・評価

ナイルの娘(1987年製作の映画)
3.7
台湾巨匠傑作選2018

今年初公開のデジタルリマスター版は3作品で、そのうちのひとつがこれ。

兄が盗んだウォークマン、妹が隠し持っていた(たぶん)サンリオグッズ、日本で買った(たぶん)スウォッチ、バイト先のケンタッキーで流れる中森明菜の歌…
日本文化の浸透ぶりがなかなかだ。主人公シャオヤンからして浅香唯風の80年代アイドル顔だし。
肩パッドがっつりダブルのスーツはバブル時代の日本の若者そのもので浮かれた感じがやや気恥ずかしい。そういえば「台北ストーリー」もそんな感じだったな。

かと思えば、シャオヤンが通う夜間学校の教師が思想的な疑いをかけられて解雇されたりと、ついこの前まで戒厳令が敷かれていたことを思いださせる。
夜の騒がしさと家の中を風が通り抜ける朝の静かさ、家族との乖離と絆、若者の無鉄砲さと小動物のようなひ弱さなど、全体に散りばめられたコントラストが面白い作品だった。

とにかくおじいちゃんが素敵すぎる。

「ナイルの娘」=「王家の紋章」らしいのだけど、絵が全然違う。どうやら台湾の漫画家が書いたものらしい。細川先生の許諾が取れなかったのか…
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