穏やかに暮らす家族が息子の突然の死に直面し、哀しみながらも受け容れて再び歩み始める姿を描いた作品。
深刻になりすぎず、優しく温かく家族の再生を見つめる。
この作品はとにかく死の受容の過程を描いている気がする。
精神科医の父親は息子の死後、患者たちから聞く話を自分と重ね合わせてしまうようになる。
そういったストーリーはあまり刺さらなかったけど、強がったり涙が溢れたり、行ったり来たりしながら死を受け容れていくプロセスはリアルで胸を打たれる。
父親が空想する、"もしこうしていたら息子は死ななかった"という考えを、実際にシーンとして描くことで、家族を喪った者の頭の中での後悔や受容を見せていく。
家族が知らなかったアリアンナという存在、母親にだけ伝えたアンモナイト窃盗事件の真相など、父親と息子の間には微妙な距離感があることが示唆される。
そんな不安や自己嫌悪を払拭するかのように、国境まで夜通しドライブすることを決める終盤は感動する。
ナンニ・モレッティの演技は見事。
劇中の音楽も素晴らしい。