かめの

息子の部屋のかめののレビュー・感想・評価

息子の部屋(2001年製作の映画)
4.2

あぁ、ジャケット写真のシーンはどこだったのだろうと思っていたら、そうか…そうあって欲しかった「過去」だったのか。

ガンの宣告を受けるショックで呼び出した患者が息子を殺したわけじゃない。だけど、行き場のない苦しみと後悔が押し寄せて、この人とどう付き合っていけば良いのか分からないという葛藤が嫌というほど伝わってきた。しかし、その人は呆気なく「患者」であることを降りてしまい、結果的には望んでいたことなのに、どこか置いて行かれたような、途方もない気持ちになってしまう。

母親は息子の良い思い出を語り合いたくて、息子の恋人であろうアリアンナと会いたくて仕様がない。しかし、会ったら会ったで、知らなくても良かった現実を知ってしまう。

生きているって、悲しいけどこういうことなのかもしれないな、と感じさせる作品。素晴らしかった。
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