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ボルベール <帰郷>のこたつむりのレビュー・感想・評価

ボルベール <帰郷>(2006年製作の映画)
3.8
悠久の大地に帰りゆく魂を優しい視点で描いた物語。秀作。

墓の掃除。レストラン。胸の谷間。
川のほとり。シャンプー台。胸の谷間。
テレビ番組。赤い自動車。胸の谷間。
というくらいにペネロペ・クルスさん(の一部)が印象的な作品でありました。

というか、ペネロペ・クルスさん、顔小さすぎ。
他の女優さんと並んで立つと…その違いがハッキリと分かります。しかも、出るところは出て、引っ込むところは引っ込む…という抜群のスタイル。公称身長168センチということですが…いやはや、“造形美”とは彼女のためにある言葉。次元が違います。

特に本作の場合。
アルモドバル監督の“女性賛歌三部作”ということで、男性がほとんど出演しないですからね。ペネロペ・クルスさんの存在感が余計に際立つのでしょう。

それでも「さすがは監督さんだな」だと思うのは。
ペネロペ・クルスさん以外も“可愛らしさ”を見逃さずに映していること。特にベッドの下に隠れた×××さんの表情は必見です。思わず胸がキュンキュンしちゃいましたよ。

ただ、物語としては。
全般的に“見覚えのある展開”が続きますからね。
悪く言えば凡庸なのです。でも、主軸としては“女性の強さ”を喜劇と悲劇の毛布でくるんだ物語ですから、テーマ自体が普遍的なもの。どうしても既視感を抱くのは致し方ないのです。逆に言えば、“見覚えのある展開”なのに、グイッと惹き込む筆致は見事な限り。

また、監督さんと言えば変化球。
本作でも“思わず腰が引けるキレ”は健在でしたが、スパイス程度でした。というか、アルモドバル監督の作品ということで「あ。その展開だったらスープの具材ですよねえ」とレシピを深読みしちゃいますからね。本作のように優しい物語ならば、スパイス程度で十分なのです。

まあ、そんなわけで。
監督さん独特の“温かくて優しい視点”で綴られた物語。それは、罪に対する“報い”ではなく“赦し”。隅々まで愛に満ちた作品でした。しかも、持ち味である“変態的な部分”は抑え気味なので、誰でも安心して鑑賞できるのも良いですね。

追記・日本人は"さん付け"、外国人は敬称無しというマイルールで書いているんですが、ペネロペ・クルスは気が付いたら"さん付け"してました。やはり、豊満な…ゲフンゲフン。
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