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ボルベール <帰郷>のkuuのレビュー・感想・評価

ボルベール <帰郷>(2006年製作の映画)
4.0
『ボルベール〈帰郷〉』西班牙映画 
原題Volver  2006年  120分
西班牙(スペイン)中部のラ・マンチャのたくましい女たちの生きざまを郷愁と共に描き出したヒューマン・ドラマ。
失業中の夫と、15歳の娘を養うライムンダ。
伯母の訃報を聞き故郷のラ・マンチャを訪れた彼女は、火事で死んだはずの母親の姿を見たという噂を耳にする。

スペインの情熱的シンボル
『強烈な赤色』。
殺人の血、血糊、雑巾で拭う血、トマト、そして、車の色!
レッドを基調とした、この映画の監督の色彩感に惹きつけられ圧倒された。映画の最後には音楽と共に花模様の図柄がでてくるが、
これが、将に監督の色彩感で、類い希な強烈な色彩の美学なんやろなぁと。映画の題名はアルゼンチン・タンゴの名曲
『VOLVER 』

https://youtu.be/Md0xEzMzIUM

VOLVER
彼方に見える光のまたたきが
遙かな故郷に私を導く
再び会うことの恐れ
忘れた筈の過去が甦り
私の人生と対峙する
思い出に満ちた多くの夜が
私の夢を紡いでいく
旅人はいくら逃げても
いつか立ち止まる時がある
たとえ忘却がすべてを打ち砕き
幻想を葬り去ったとしても
つつましい希望を抱く
それが私に残された心の宝
      ―サイトより抜粋。 
これをペネロペが、吹き替えながら歌い演じてるけど、人生の苦悩と、その中の一条の光が見えてくるようでした。
映画の内容は、残酷で目を背けたくなるようなクソ人間性を描いていて、
舞台はスペイン中部ラ・マンチャで力強く生きる女性が主人公。
母の愛や、笑いを絡めながら描いた映画っすね。
話はプー太郎の夫を養い、娘を育てとるライムンダ(ペネロペ・クルス)に、悲しい事件が降り注ぐ。
血の繋がってないからと娘に近親相姦を迫ったクソ親父を娘が刺殺。
娘の死体遺棄をかばうライムンダ。
故郷のラ・マンチャじゃ墓に眠っとると思っとった母ちゃんを見かけたって噂もが広がる。
この映画は二人の母ちゃんを主題にしてる。
ペネロペはハリウッド映画に出てる時よりも生き生きして見えるし、艶麗ささえ感じさせる魅力を見せつけてる。
男の影が希薄な世界で、母は誕生と、死をもつかさどる存在であっかのように、出てくる女性たちは懸命で、可笑しくもあって哀愁ある振る舞いを、全ての女優陣が見事に表現し見せつけてるようで粋やった。
早口で云うスペイン語が映画にアレグロなテンポを与えて、会えないまま亡くなった母を思い出したかな。
映画同様に全てを包み込む母の愛は偉大やなぁって感じた作品でした。
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