哥(うた)の作品情報・感想・評価・動画配信

「哥(うた)」に投稿された感想・評価

Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

5.0
‪「哥」‬
‪冒頭、丹波篠山の山あいに豪荘な邸宅。鳥の囀り、河の流れ、森山家の山林、旧家、三人の息子、常闇の中一筋の光、財産分配、愛欲、守護神、谷底での炎上…本作は無常、曼陀羅に続き実相寺昭雄がATGに遺した傑作で我々民族の精神構造を追求した完結編とも言える本作は前前作から田村亮、前作からの岸田森、今回の主役である淳演じる篠田三郎が顔を合わせる。相変わらずの移動撮影や前進撮影、細かなカット、クローズアップ等、彼の特徴が炸裂。前作とは違い無常同様に全編モノクロに戻る。無常同様に旧家を舞台に討論、討議する。そして無常、曼陀羅同様に秒針の音が際立つ。にしても一々綺麗かつ格好いいカット割が凄い。それに篠田三郎の若い時って本当男前でビビる…ウルトラマンシリーズもそうだが本作の白黒に映る彼は素敵だ。それと実相寺は岸田を捉える画が素晴らしいんよ。好きなシーンでは墓の文字を写す淳と内田良平演じる正体不明の僧との会話と山林の原風景の捉え方。なんと言っても本作の最大の魅力は和のテイストが豊富に映される中、ヴィヴァルディの四季/冬が迫り来るだが、それが半分ホラーの様な緊張、恐怖、緊迫感の三拍子で観ていて、これが本作の水準の高さの要因なんだろうなと思う。監督自体クラシックが大好きと公言してるし…それと役者の顔を半分切り落とす画面構造や下半身のみ、上半身のみ、鼻から上のみの撮影が印象的かつ淳の聡明な人柄が良いのと冬/第二章ラルゴが流れる中の性行為場面は美しい…また本作に出て来る女優がエロい。八並、桜井しかり何て言うか肉付きや既に濡れてるエロスさを感じる。和田役の田村亮が眼鏡をかけてるせいか面影が薄く少し残念…消息を絶っていた次男の徹が夜回りの淳に暴力を振るい彼に明日から飯を食うなと約束させ、衰弱させる。それに女を強姦と最低な男の描写が続く。そして物語が一時間五十分を過ぎた頃、徹と長男の康に淳が森林を売るのをやめてくれと願うシーンで彼が徹に何故自殺しないんですかと問う瞬間にヴィヴァルディが流れ途端にカメラは徹と康をアップするんだが、そん時の康演じる岸田森の表情ったら半端なく怖くかっこよくこの一瞬だけでこの映画の虜になる。そこからラストまで突っ走り四季の春/第一章が微かに流れ石階段を這う様に登る淳の姿と◯◯の帰結に衝撃とシビれる映像美に完膚なきまでヤラレタ自分がいた。物語は旧家の当主の三人の息子、内三男の淳は女中の隠し子で書生見習として住み込む。彼は決められた時間のみ働き夜間は必ず旧家を守るべく見回る。また康の家にはもう一人青年の和田ががいる。彼は女中の藤野との情事に溺れ、それを目撃した康の妻、夏子は淳を強引に誘い営みをする。そして次男の徹が森山家の財産を抵当に暮らし始める。徹は徐々に淳の存在を疎ましく思い虐待し始め、飯を食うなと命令しそれに従う淳は見る見る内に衰弱する。山林を売る話を聞き付けた淳はあの山こそは滅びゆく日本の象徴なのだと訴えるか耳を貸さない康と徹…そして悲劇が起きる。本作は前作二作より分かりやすく面白みと芸術があり非常に評価できる。本家本元の子では無く、隠し子の子が必死に家を守る設定が守護神(三男 淳)の滅びと同化した点はあーなるほどなと思わされた。‬ ‪不可解なのが本作には淳がラストに車の前に急に飛び出し谷底へ落下する解説があるのだが尺長版を観ても無い…何処で観れるのか?気になる…‬。
lag

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3.6
無感動と嘲笑の日常にヴィヴァルディ楽団。兄弟の対立。半紙と筆字。秒針と階段。山林と終末に這う。137分版。
みやお

みやおの感想・評価

3.4
はったい粉とやらを食べてみたくなった。「穀物は僕には一番ええんです。」
モノクロの光と影をヴィヴァルディの四季が彩る。コミカルで笑える部分もあり「無常」「曼陀羅」と順に見たが比較的見やすいように感じた。弟がとにかく下衆い。
mare

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3.5
ATGの白黒映画で絵画的カット、自然の表現、もはやホラーに近しい官能的描写、奥ゆかしく芸術が花開いている。そして断片的に彩るヴィヴァルディの四季が叙情的に駆り立て、後世に古き良き伝統を守る者と時代の波の如く伝統を塗り替える者との対立を描く。三人兄弟、生まれた順番が違うだけでこうも生活、生き様、人間性が異なるのかと思わされるし、理不尽で遣りきれない不条理世界をただ見つめることしかできない。自分にあまりにも正直な三男がまさしく命を削り、財産である山を守って無謀に兄たちに立ち向かっていく。これ三部作ってこと知らなかったから無常と曼陀羅も鑑賞したい。
ossi

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3.4
黒の割合の多いモノクロの美しい画面。
湖面の光の揺れ、林の梢越しに見上げる空も重苦しく暗い。岸田森がモノクロに映える。

画面の存在感があるのだから音響はもっと控えめで良かった。物語の要所要所に大きくヴィバルディが流れるが、過剰。

ストーリーは丹波篠山に広大な山林を所有する旧家の兄弟の対立の話。
自分達の代で山林を手放したい兄達。
「守るべき中身のあるものなど、もうどこにも無い」
山林を守り続けたい非嫡出子の三男。
「形さえ、魂の拠り所さえ残れば中身はいずれ復活します」
画的にはひたすら眼福なATG相寺だが、かなりのギャグ映画だった。

全然使えないペッパーくんみたいな篠田三郎がペッパーくんというよりサイレンの徘徊ゾンビ過ぎて、もうそれにしか見えなくなってきたし、実際ゾンビみたいな役だった。岸田森は中身も見た目も抜群にオモロい。
高橋

高橋の感想・評価

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無常見たときも思ったけど裸でまぐわうことや生殖行為が所謂エッチ、ポルノ、性的、じゃないみたいで大好き。ジュンがレイプされる時や階段を這いずる時クラシックがかかるの余りにもジャパニーズクール
サディズムは静かに着実に起こる。
「自殺もまた、夢のひとつに過ぎんからさ」ってシンプルでいい言葉だな
AE35UNIT

AE35UNITの感想・評価

4.3
強靭な精神で意志を貫くジュンの考え方には深く共感するので、始終拷問のようで辛かった。食事シーンでは咀嚼音がやたら大きく、一体どういう意味なのか分からなく思っていると「食わなければ死ぬ」という展開に繋がっていく。生き物として、これ以上どう分解しようもない本能的な問題が突きつけられるあたりに興奮した。

ジュンが生き様で思想を表すのに対し、没落寸前の富豪どもは口先だけ主語の大きな話ばかりするのが憎い。「もうそういう時代やない」だの「全部夢だ」だの、なんなんだてめえ!「自殺もまた夢のひとつに過ぎないのさ」じゃねえだろ今すぐ死ねこの野郎!!という印象。

48分あたりの濡れ場、「抱き合う二人が人目を避けようと襖を閉めたものの完全には閉まりきらず、二人の足元だけが見えている」というカットが非常に良かった。ものすごくエッチ。

影の多い日本家屋のなか、柱を拭く音が響き渡るさまには猛烈なフェチを感じた。日本家屋のなか、延々とカメラを横スライドさせていくのも良かった。
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