えりみ

明日への遺言のえりみのレビュー・感想・評価

明日への遺言(2007年製作の映画)
4.0
2時間弱も我慢できるか不安だったものの、単調な法廷劇でありながら退屈もせずに見られた。
やっぱり藤田まことってすごいな。竹野内豊も個性を全く排してナレーションに徹している。

主人公の岡田資中将が非常に徳の高い人として描かれている。まさに古きよき日本人ってやつ。人の上にたつ者として理想となる人物。
主人公だけにとどまらず日本側の弁護人(外国人)から裁判委員に検事まで心優しい人なので、ちょっと史実としてはどうなのか?な部分は残るけど。

よく語られる原爆の悲劇もさることながら、この映画によって各都市部をおそった焼夷弾による「空襲」の悲惨さを学ぶいい機会になった。更には一般民衆への無差別爆撃は「国際法違反である」ということ。
なんとなく頭では分かっているけど、裁かれている側の人間が米空軍が行った戦争犯罪をはっきりと指摘する。しかもこの主張は己の罪を軽減するための弁論でない(最後の裁判委員会の誘導質問への答えが立派)。

「俺の命はくれてやるから部下達は助けてやってくれ〜」なお話ではなかったのも好感をもてた理由か。
なんにせよ自分の国の歴史についての知識が少ないのが恥ずかしくなった。
えりみ

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