勝沼悠

明日への遺言の勝沼悠のレビュー・感想・評価

明日への遺言(2007年製作の映画)
3.9
 太平洋戦争末期、無差別爆撃の最中不時着した爆撃機の乗組員を処刑した罪に問われた岡田中将の裁判の様子を描く。ほぼ全編裁判で構成。

 藤田演じる岡田中将は、米軍の無差別爆撃の非人道性を指摘し、処刑はあくまでその行為に対する法的な処置だったと主張する。彼の犯罪を審議すると、どうしても米軍の行為の是非を考えなければならない。アメリカ側も一方的な押し付けではなく、正当な議論が続けられ、裁かれる日本人と裁くアメリカ人の間に不思議な信頼関係が築かれていく。劇中で岡田が語っているが、こういった日本軍側の主張がちゃんと取り上げられることはほとんどなかったらしいが、わずかでもこういったことがあったことは驚きだ。

 最初から全ての責任を取るつもりで死を覚悟して正々堂々裁判に望んだ岡田の姿勢が光る映画。
 それまで固い文長で書いていたのに、最後だけは口語で書いていた妻への手紙がいい。
勝沼悠

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