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ふたりのYOUのレビュー・感想・評価

ふたり(1991年製作の映画)
3.9
大林宣彦が監督を務めた、1991年公開のファンタジー・ドラマ。
赤川次郎による1989年の同名小説を原作とする本作は、『あした』『あの、夏の日』と並ぶ「新・尾道三部作」の第1作とのこと。劇中で最も魅了させられてしまうのはなんと言っても本作が映画初主演となる石田ひかりさんの存在感です。佇まいや喋り口調などに見られる彼女の”透明感”には原田知世や富田靖子とはまた違った華やかさが感じられますし、姉・千津子を演じる中嶋朋子さんの落ち着いた演技とのアンサンブルだけでもこの150分は全く苦になりません。また「死者が主人公の前に平然と現れる」という展開は大林作品においては鉄板ですが、本作では千津子が命を落とす瞬間がかなり直接的に描かれており、主人公・実加がいかに姉の死にショックを受けているかが身に染みて感じ取れます。しかし実加にとって千津子は”精神的支柱”であると同時に”大きなコンプレックス”でもあり、観た者全員の心に強く刻まれるであろう序盤の”お風呂のシーン”はそんな複雑な心情を抱える彼女が今まさに”大人への成長過程”にあることが視覚的にも象徴されている本作屈指の名シーンです。「なに言ってんの こどものくせに/なに言ってんの オバケのくせに」 、何だろうこの気持ちは、女同士の友情に”女として”混ざりたくなるこの感じ、これぞ至極のウーマンス!

思春期に差し掛かった実加にはその年頃ならではの数々の困難が立ちはだかり、その都度幽霊の千津子に力を借りそのハードルを乗り越えることで彼女は次第に成長していきますが、本作が真に感動的なのは「実加に課せられた最後にして最大のハードルは千津子という存在そのもの」だという部分です。前述したように実加は千津子に対して”信頼感”と”劣等感”というアンビバレントな感情を抱いており、そんな実加が最終的には姉への依存心やコンプレックスから脱却し、妹の自立する姿を見届けた千津子は安心して成仏します。この両者の関係性と物語の帰着には漫画『タッチ』とも非常に近いメッセージ性がありますし、個人的にはもの凄く大好きな一作となりました。大林作品としてもウーマンス映画としても大オススメ!






















































































































めちゃくちゃ楽しめた作品なのに巨大な引っ掛かりも覚える、それはもっぱら岸辺一徳演じる親父に集約されるでしょう。もちろん演出の意図や必然性は重々承知ですが、それにしてもお前はちょっとどうなんだ。終盤の言動は百歩譲ったとしても、道端でレイプされかけた娘に対して「襲われるような年頃になったんだなお前も」って、”今の視点で”とかは置いといてもヤバいでしょ。ひかりさん、僕はアイツを許しません。代わりにブッ飛ばしに行きます。
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