えっちゃん

ミッドナイトクロスのえっちゃんのレビュー・感想・評価

ミッドナイトクロス(1981年製作の映画)
3.5
『欲望』(Blowup、ミケランジェロ・アントニオーニ、1967年)に多大な影響を受けた当作(原題は"Blow out"なのでより一層わかりやすいですね)。
いずれも偶然撮影されたものを"引き伸ばし"などの加工を施すことで内在する狂気を暴き出すというのが主題となっています。
アントニオーニの『欲望』が名作であることは言うまでもないのですが(主人公はファッション誌のカメラマンをしている設定であるので、ファッショナブルなところも見どころです!)、デ・パルマによる当作も隙のないサスペンス、舐めるようなカメラワーク、そしてジョン・トラヴォルタの演技も相まって十分に賞賛に値する作品だと思います。

エンディングの花火シークエンス。
花火といえばヒッチコックでいえば『泥棒成金』のリヴィエラの花火ですが、あの幸福な花火のシーンの記憶だけでも留めておいた上で当作を見ると、デ・パルマが単なる模倣から脱却を試みようとしているのがよく理解できます。