肥満児フィン

ドアーズの肥満児フィンのレビュー・感想・評価

ドアーズ(1991年製作の映画)
4.1
ドアーズファンほどあまり評判が良く無い今作。ようやく観れた。

確かに尺は長く、全編に渡りテンポも悪く、結局何に焦点を当てているのかが不明瞭と言われているのも分からなくは無い。だがしかし、そとそもドアーズの音楽性ってこういう物だよなと思った。
ジム・モリソンが自身の詩に込めたアイデンティティって、結局劇中でも描かれているような"世界で上に立つ者への反逆心"、つまり彼が生涯抱いた父親への拒絶であり、そこにドラッグ、酒、セックスであって、それをここ数年人気であるアーティストの伝記映画と同じようなテイストで作っても、それは単なる再現フィルムにしかならない。そう考えると、オリバー・ストーンが執った今作の描き方は、間違いなく正解だと言える。では逆にその描き方って何?というと、それはジム・モリソンの頭の中を描こうとした試みだろう。彼が幼少期に見たナバホ族の光景とトリップの融合や、ひたすら自身の幻想と現実の狭間を彷徨い続ける狂った生き様など、ある程度根気が無いと確かに退屈さを覚えるのも分からなくないような並外れた描写が続く。だからこそ、この極限まで興行作品としての作りに頼らない姿勢に好感が持てる。画像で見た限りでは似てなくも無いぐらいに思えたヴァル・キルマーのジム・モリソンも、今作を見るとめちゃくちゃ似てる。声まで似てるとなると、もはや本人なのでは?と疑いたくなる。だがカイル・マクラクランのカツラ具合は必見。後半はアルフィーの高見沢俊彦にしか見えない。