北野日奈子

ハナ子さんの北野日奈子のレビュー・感想・評価

ハナ子さん(1943年製作の映画)
4.0
ラジオ体操をとらえたカメラが左から右へ移動すると、轟夕起子が体操を途中でやめて大きく走り出す。カメラはそのまま轟を追う。轟が走り着くと、そこには婚約者の灰田勝彦が立っている。増村『親不孝通り』を思い出す美しいすすきの群れだけでなく、戦時中に撮影されたという事実とはまったく無関係の決して忘れてはならないこのショットが『ハナ子さん』にはある。登戸駅で小田急線から南武線に乗り換えようとするときに誰もが通るあの通路を晴れた日に歩くときにしか感じたことのなかった素晴らしい心のうねりをもたらしてくれたこのショットを、僕は宝箱に閉じ込めてしまいたいと思う。