zhenli13

召使のzhenli13のレビュー・感想・評価

召使(1963年製作の映画)
4.3
『愛の嵐』のダーク・ボガード大好きマンにはたまらない作品だった…主従関係の顚倒をいやらしくじわじわとばっさりと。これでもかと言わんばかりに作り込まれたダグラス・スローカムのカメラワーク、広角で歪み気味に捉える部屋の構造を執拗に流麗に流れるショットが最後まで続き、貴族のぼっちゃんの新居が徐々に頽廃に飲み込まれていくのを存分に見せる。ソプラノサックスが主旋律をとる劇伴とレコードの歌が交じるシーンを多用したり、ジョセフ・ロージーのこの作品への気合いをひしひしと感じる。
ボガードの隠微さを大変よくひき出していて、ジェームス・フォックスとのシーンがぜんぶ面白い。パブでついたてと花瓶の花越しという位置関係で再会する心理的なゆさぶり。後半ガラリと支配構造が入れ替わり、ボガードを愛憎をもってしか見られなくなるフォックスと、操ってるのかただ無茶苦茶やってるのかわからないボガードとの関係があの階段でのキャッチボールという無意味な行動で表されるのがまたたまらない。
最後の方、暗がりの部屋の隅に軍服を着た男の写真がかかっているのが見える。これはボガードなのかな。
対して終始下品なサラ・マイルズと、申し訳ないが全く美しくないウェンディ・クレイグ、女性が魅力的でないところがマイナスのようであり、ボガードとフォックスの引き立て役に終始しているともいえる。
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