裕福な青年トニー（ジェームズ・フォックス）は召使にバレット（ダーク・ボガード）を雇い、その有能さを気に入るが、やがてバレットは妹と偽って恋人ベラ（サラ・マイルズ）をメイドとして働かせるようになり、しだいに紳士と悪党の二面性を見せるようになる。
久々にグロテスク度の高い作品だった。
と言っても、英国のやや上流階級の家の話で、映像はグロくない。その人間関係の猥雑さが酷い！
「ゴスフォード・パーク」でも語られたとおり、トニーの傲慢さと怠惰な生活が依存を生み破滅を招く。
召使バレットの狡猾さも凄くて、自分の女を使い、策略をめぐらし、自分の居場所を守るだけでなく、立場を逆転させて家の主になってしまうのだ。
立場とともにどんどん表情が変わっていき、自信満々に暖炉の前で “俺は君が喜ぶものを知っている” と語るダーク・ボガードが恐ろしい！
そして、この映画のエロさは、“友情” という言葉を隠れ蓑に、離れがたく絡み合う男2人の恋愛感情に極まっている。
英国上流階級映画のあるあるだ。
破滅的なラストには気分が沈むけど、会話の相手をあえて画面の外に置いたり、繰り返し鏡を使ったトリックのような映像を見せたりと、映像技術とフランス映画を思わせる異質感は嫌いじゃなかった。
