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モン・パリのBOBのレビュー・感想・評価

モン・パリ(1973年製作の映画)
3.2
ジャック・ドゥミ監督のコメディ。

パリ・モンパルナス。自動車教習所を経営する男が、妊娠4ヶ月と診断されて一騒動。

「人類が月面を歩いて以来の最も重大な出来事」

これは、ジャック・ドゥミ監督の世界観ではなく、当時実生活でもパートナーであったカトリーヌ・ドヌーヴとマルチェロ・マストロヤンニの共演を楽しむ作品かと。ドヌーヴが素敵。どんなカラフルで奇抜な衣装を着ても、お洒落に着こなしてしまう。

ロマコメというより、ウーマンリブ的なコメディという印象。男性の女性化。"薬剤や加工食品の摂取によりホルモンバランスが崩れ、男性が妊娠する"という理論は奇想天外だが、60年代後半から70年代前半にかけて起こった女性解放運動を踏まえて作られた作品なのは間違いない。妊婦となったマストロヤンニがベビーカーを押しているポスターがアイコニック。ラストの展開は、ハッピーエンドととるのか、それとも男女平等社会の実現はまだまだ遠いことを示唆しているととるのか。

"男性が妊娠すると、ピルがどこでも買えるようになる"という女性たちの会話が印象深い。50年前からなされていた議論だったのか。

夫婦の会話が、フランス語とイタリア語でなされているのが面白い。

「出産した男性は優れた人間になる。"創造"を経験するから。」

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