召使の作品情報・感想・評価

召使1963年製作の映画)

THE SERVANT

製作国:

上映時間:115分

ジャンル:

4.1

「召使」に投稿された感想・評価

裕福な青年トニー。彼に雇われた召使バレット。
二人の関係がやがて不穏で複雑なものに変わっていく様を、じりじりと描いていく。

私の様な庶民にはあまりピンとこないものだけれど、ごく当たり前のようにそこに存在している主従の関係。
何を言いつけてもこちらの要望に恭しく応えてくれる存在を、意識下では見下していたはずである。
しかし“無遠慮”というのは、語弊があるかもしれないけれど、ある種の“親密さ”を生むと思うのです。
親密っていっても別に仲良しこよしーってことでは無いですけどね。
親密になり、やがて無遠慮になるというのはまぁ熟年夫婦なんかにもよくあることで、それとは逆行の流れもまた然りなのではないかと。
相手の意向を慮らず発言したり行動したりというのは、一種の甘えでしょうからね。
それってある意味自分の本質を曝け出しているのでしょう?
ましてや、隷属している側がそのことに気がついて利用しようとした場合には、大きな弱点にすら成り得る訳で。
そのあたりの微妙で繊細な感情のラインを、いやらしいまでにじっとり見せつけてくる描き方です。
後味がもうなんとも言えない。
心がざわついて仕方ない。ざわざわ。

別にはっきりとそういう描写があるわけでもないのに、英国紳士ふたりの雰囲気にどことなくセクシュアルな匂いがするところなんかも、妙な背徳感。
あの家の中だけ浮世離れした様な謎の退廃した空気が流れているんですよね。
煙草の煙、影、鏡や扉が印象的に映し出されていて、非常に美しい。
私は“不気味さ”を表現する際には、まるで対極と思われる様な“美しさ”が同時に存在していて欲しいと思っている人間なので、この世界観にしっとり浸りきることが出来ました。
心地悪さに、心地好く浸る。
矛盾しているけれど。

かくれんぼって、やっぱりちょっとホラーだよね。
ネット

ネットの感想・評価

4.2
召使の妹が出てきた辺りからがぜん面白くなる。ゾクゾクする!真正な悪意ほど見てて面白いものはない。
主演のジェームズ・フォックス、どこかで見たことあると思ってたら、「ジャッカルの日」の主演エドワード・フォックスの弟でした。スレンダー英国美男子!
あい

あいの感想・評価

4.0
ご主人さまと召使の主従関係逆転の裏にはまさかホモセクシャル要素も絡んでいたとは!
ゲイの性的要素のシーンはないのだけど、トニーが依存していく様はゾクゾクするものがある。
観たよ




これは良作中の良作

主事関係を階段で表す粋なセンスに脱帽!!

関係が逆転して行く不気味さや、無力すぎる主人公の転落振り
じわじわと広がる底なし沼の地獄へと続いていく階段…

印象的なシーンも多々あり、泣き噦るトニーの背景、壁に貼られたポスターの意味等、考えれば考えるほど本作には比喩表現のオンパレードで溢れている

階級だけで、何も出来ない無力な主人公(貴族)達を嘲笑い、見事な策略で階級制度を逆転させ、ついには主君の地位をも乗っ取っとり、貴族社会は下層階級に滅ぼされてしまう

キスで表す召使いの高らかな勝利宣言に、普通なら気分がいいはずの私(下層階級)ですが何とも後味が苦かった🌀
これは主従関係逆転劇とみせかけた共依存精神的ゲイ映画である。と、思ったものの全く見当違いかなとドキドキしていたが似たような考察ブログがいくつかありなんだか安心。

主人のトニーと召使のバレットの関係性の変化は面白いを通り越して暗闇の中で沼に足を踏み入れてしまったような感覚。はまって初めて底なし沼と気付くももう遅い。同じような主従関係を扱ったウッドハウスの小説のバーティーとジーヴスの関係性のちょうど良さが身に染みる。
「女王陛下のお気に入り」でもあった魚眼レンズを用いた演出の歪んだ虚像が象徴的だった。

ただの主従関係逆転劇ではないと感じるのは、中盤のバレットが荷物をまとめて家から出て行ったあとのシークエンス。ベッドで伏せるトニーの側の壁に貼られた筋肉むきむきの男たちの写真のクローズアップ。その示唆するもの。
その後の2人の関係や謎のキャッチボール、鬼気迫る鬼ごっこ。今考えるととあの鬼ごっこはトニーの精神的な部分までもこじ開け、覗き込んでいるようでなんとなく背筋が寒くなる。そしてあのラストへ。

目は口ほどに物を言うというが、この作品は非常に役者の表情が雄弁だった。その表情で不快や媚びや虚無をセリフ以上に伝えてくる。
ロージー監督の作品はあと唇からナイフしか観てないけど他の作品も顔アップ多いのかな
すんげえわこれ。ザ・カオス。観れば観るほど好きになりそう。階段でのキャッチボールと女が誘惑するシークエンスがやばい。要再見!
浮浪者

浮浪者の感想・評価

3.5
共生虫にみせかけた害虫という生存戦略の鏡のようなイキモノが社会を乗り回す痛快さ、はある。
ヘンテコな映画です…。ブラジルでの植林で成り上がってきた典型的なポスコロプチブルの新居に召使として雇われたバレット。主人の婚約者に疎んじられながらもまあまあ召使としてうまいことやってたが、妹をメイドとして雇い入れたことから何かおかしなことに…。
照明のうまさと音楽のムーディーさも相まって、エロい画面が多いと思いました。そして女たちが出て行ってからのくだりは不条理コメディで大好物です。主従関係が動揺していき、心なしか男たち二人の着ている服も似たり寄ったりになっていきます。階段のくだりは構図の良さとやってることのバカらしさで変に笑えます。ピンターの手腕も大きいのでしょうが、ここまで長いこと放置していたことを後悔させる存在です、ロージー。
TS

TSの感想・評価

4.0
【召使が主人を喰らう】84点
ーーーーーーーーーーーー
監督:ジョセフ・ロージー
製作国:イギリス
ジャンル:ドラマ
収録時間:115分
ーーーーーーーーーーーー
これは面白い。召使と主人の立場がじわじわと逆転していく恐ろしい展開。ただそれだけでなく、上流階級の者が下級市民に嘲笑されていく様も描かれている映画です。撮影の仕方も非常によく、どことなく薄気味悪さが滲み出ています。

南米から帰ってきた貴族のトニーは、召使としてバレットという男を召喚する。彼は優秀な召使であり、家のさまざまなことを彼に任せるのだが。。

最初は礼儀正しく、紳士的なバレット。ところが彼はトニーの婚約者であるスーザンには頗る嫌われています。で、バレットは何故か自分の妹であるベラも女中として働かせてほしいと嘆願し、奇妙な四人の暮らしが始まります。ここからが予想の範囲内。トニーはベラと情事を起こしてしまうし、驚くことにバレットもベラと情事を起こします。そしてここからは予想できない展開になります。バレットの豹変具合が本当に謎めいていて奇妙。また、同性愛を仄めかすような描写もあり、結局のところどれが正しい見解かは不明。ただ、じわじわとトニーは落ちぶれていきます。このバレットという召使を雇ってしまったからが故に。。

召使とて人間。奴隷のように召使をこき使うイギリス貴族階級の痛烈な批判か。しかし、召使のバレットも相当策略的な人間であり恐ろしい。従う者の腹黒い部分も垣間見れる、総じて人間の恐ろしを再確認できる作品と言えそうです。オススメ。
ルー

ルーの感想・評価

3.5
ジョセフ・ロージー監督らしい、台詞が少なめですごく引き付けられる作品だった.召使として雇われるバレット.主人のトニーは気に入るけれど、トニーの彼女はバレットの強かさが鼻に付き、「狙いは何?」と胡散臭い彼を見抜く.バレット役のダーク・ボガード、冒頭からトゥースピックを吐き捨てる姿でただ者で無い匂いがたっぷり.「欲望」に出演していたサラ・マイルズ、この映画では色気たっぷりでした.
ただ、私としてはここまで立場が逆転できるもの?と多少違和感が……
「All Gone」クレオ・レーンの歌声が甘く危険な香りがたっぷり、ムードある作品でした.
>|