ロックウェルアイズ

ムカデ人間2のロックウェルアイズのレビュー・感想・評価

ムカデ人間2(2011年製作の映画)
4.3
衝撃の問題作「ムカデ人間」。
あの変態映画に取り憑かれたある1人の男のさらに狂気に満ちた物語。

あのムカデ人間は映画だった⁉︎
ムカデ人間の映画を観てムカデ人間の虜になりムカデ人間を作っちゃったって話。
しかも、前作同様トム・シックスが監督をしている。
本編内で「あの映画は名作だ」とか「あの変態映画ね」とか自分の作品なのに言ってるところがツボ。
ただ、今回は笑いもない。
主人公の不気味さ増し増し、グロさ増し増し、キモさ増し増し、ウ○コ増し増し。
さほどグロくなかった一作目から一転、今回は非常に危険なレベルで、だから白黒にしましたっていうさらに狂気に満ちた超問題作。
上映禁止になる国が多い中、日本は映倫との激しい交渉の末に修正を加えてR-18でなんとか公開に漕ぎ着けたらしい。
そして、どうやら新宿武蔵野館が上映したいと名乗り出てくれたみたい。
武蔵野館愛してるよ。

前作では北村さんに若干食われていた主人公の存在感。
ただ今作は主人公マーティンのイメージしかない。
本当にどこでこんな逸材見つけてきたんだ?ビズリーチ!
あまりに恐ろしい怪演を見せてくれたローレンス・R・ハーヴィーさん。
3作目でも分かるけど、メッセージ動画見るととても陽気な方だった。
しかもピンク映画好きの親日家らしい。
演技……だったんだ……
まあ、そりゃそうだろうけども。

前述したが、今作は決して笑えない。
父親のトラウマ、家庭環境、社会的地位。
行き場を失った彼がたどり着いた救いが「ムカデ人間」だった。
一切言葉を発しないマーティン。
人間に成長することができなかった怪物とでも言おうか。
「よく映画やゲームの影響で犯罪に…」みたいな話を聞くけど、そういったことへのアンチテーゼにも感じる。
決して彼の行為を肯定するわけではないが悲しい話だった。

倫理的にアウトな描写を存分に詰め込んだ映像の数々。
特に妊婦さんが逃げるシーンはエグかった。
せっかくモノクロにしてあるのに“例のアレ”だけカラーにするところも本当に趣味悪い。
しかも、今作は医者ではないから麻酔代わりに殴って気を失わせ、縫う代わりにタッカーで止める。
監督の本気と才能をビンビンに感じた。
1作目は多少おすすめするけど、2作目は絶対おすすめしない。
是非観てください。