まっつん

ムカデ人間2のまっつんのレビュー・感想・評価

ムカデ人間2(2011年製作の映画)
4.2
理由はないけど再見。まぁ凄いですねやっぱり。

結論から言うとやっぱり好きですよこのシリーズ。「口と肛門繋げてムカデ人間作っちゃおうぜ!」などというバカげた(それでいてこの上なく独創的な)アイデアを実際に企画通して本当に映画にしちゃう人がいたって所に勇気付けられるんですよね。

しかもトムシックス監督の姿勢として、「狙って人が不快になる映画を作ってやろう」っていうのが素晴らしい。何万回も語られてきたストーリーには意味がないから誰も観たことないものを作ろうというあまりにも健全な情熱を感じます。

そして本作は1が「エグいとこをあんまり見せない」バランスが功を奏したのと反対に、「1で見せなかったところ全部見せちゃうよ〜」という形になっています。これは一作目が成功しカルト化した事により「遠慮のいらない」映画作りが出来るようになったと言えます。そして本作はその狙い通り全く容赦のない悪辣で極悪な残酷描写に満ちている!

まず1作目はお医者さんがやってた手術を素人が麻酔なし+お家にあった工具で行うというウルトラハードな描写が凄いです。トンカチで叩いて歯を落とし、ナイフで膝の十字靭帯を引っ張り出して切る。そしてお尻と口をでっかいホッチキスでバッチン!という地獄としか言えない描写の数々。「ムカデ人間」シリーズ名物、強制食糞シーン。ここでは雑な繋ぎ目からウンコが吹き出るという描写がありますが、画面全体はモノクロなのにウンコだけしっかり茶色という気の利かせ方。「シンドラーのリスト」か笑。しかし、そこには悪趣味な映画でしか、「ムカデ人間」でしか描けない「美」があります。汗と糞尿にまみれた貸し倉庫の中でムカデ人間が動き出したその瞬間、なにも成し得てこなかった男の最悪の夢が叶う。そこには悪趣味でしか描けない「荘厳」さと悪趣味でしか描けない「人間への賛歌」がある。良い方にも悪い方にも転がる想像力の無限の可能性への賛歌です。良いことだろうが最悪なことだろうが「為せば成る」。これはあまりにアホらしいアイデアを実現させカルト化させてしまったトムシックス監督のストレートなメッセージとも受け取れます。

また主人公マーティンを演じたローレンスRハーヴェイを見つけて来た時点でこの映画の成功は約束されていたと言っても過言ではありません。表情、体型、サイズ感どれを取ってもパーフェクトです。この映画を観た人は彼の一挙一動に釘付けになるはずです。その意味では「アイドル映画」としても良く出来ていると言えます。ハゲでチビでブサイクでマザコンで知恵遅れで童貞のマーティンは永遠にアイドルとして画面の中で輝き続けるでしょう。