じぇれ

ムカデ人間2のじぇれのレビュー・感想・評価

ムカデ人間2(2011年製作の映画)
4.2
声を大にして言いたいのは、”トム・シックス=ただの変態監督”という認識は間違っているということ。

たしかに、本作は前作とは比べものにならないグロテスク描写のオンパレードで、気分が悪くなります。
おまけに、今回主人公としてムカデ人間を作り上げるのは知的障害者。
最低の映像、最低の設定です。

しかしながら、最低の作品を仕上げるだけのきちんとした動機が、トム・シックスにはあるんですよ。

映画の模倣犯が現れても、それは映画の責任ではない。犯罪者が悪いんだ。また、犯罪に走らせた社会が悪いんだ。
トム・シックスは、映画作家として、本作を通じて訴えているんです。

皆さんは気付きましたか? まばたきのように、時折映像が暗転するのを。
そう、あれは私達観客が観ていることを表しています。
トム・シックスは作品中ずっと私達観客に怒鳴っているんです。

「お前らちゃんと観ているか? 人を繋げるってこういうことだぞ!それでも、模倣犯になるつもりか!」

だから、グロテスクな最低の映像が必要だったんです。

つまり、前作の模倣犯がグロテスクに暴れる描写を通じて、映画と現実社会の違いを、嫌というほど私達観客に叩き込んでいるんですね。

なんと美しい映画愛! なんと正しい倫理観!
最低最悪の作品のように見えて、続編としては実に美しい構成と言わざるをえません。
トム・シックス、ただの変態監督じゃありませんよ。
稀代の奇才です!

でも、こんな汚い作品、私は誰にも薦めませんよ(笑)

え? 最低の映像の理由はわかった。でも、最低の設定の理由はまだ説明していないだろって?
そう、その通りです。
ただ、これはネタバレなしでは説明できません。
なので、コメント欄に書きますね。
じぇれ

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