三樹夫

ムカデ人間2の三樹夫のレビュー・感想・評価

ムカデ人間2(2011年製作の映画)
3.6
前作の『ムカデ人間』を観たチビデブハゲが完全に映画にはまってしまい、自身もムカデ人間を作り強制食糞を成し遂げようと孤軍奮闘するという、暗黒プロジェクトXみたいなのがこの映画である。続編モノの定石としては物量が増えるというのがあるが(例えばエイリアン2)、この映画もその定石を踏み、前作で3人のムカデ人間だったので今度は12人だと(実際には12人のムカデ人間じゃないけど)、物量が増えている。前作のムカデ人間がカーペンター版ハロウィンだとしたら、ムカデ人間2はロブ・ゾンビ版ハロウィンのような雰囲気を醸し出している。前作の博士はお茶目でドジな所もあってわりかしポップさを出していたが、この映画のチビデブハゲは、ロブ・ゾンビ版ハロウィンのマイケル・マイヤーズ幼少期の陰鬱な気持ちになる日常描写のような、救いのない陰惨な状況に加え、本当に生理的に無理な気持ち悪さを持ち合わせている。顔がキモい、さらに腹が凄まじいほどキモい(妊婦より腹が出ていた)。前作のムカデ人間に出て、ムカデ人間の真ん中だった女優に惚れ込んでいたが、タクシードライバーを観てジョディ・フォスターに狂っちゃって、ストーカーからレーガン暗殺未遂にまでワープ進化したジョン・ヒンクリーみたいな奴がこのチビデブハゲで、父親から性的虐待を受け母親からは現在進行形で虐待されているという悲惨な状況であるが、それでも俺はこのチビデブハゲに1ミリの同情もせず心の底からキモいと思っている。紙やすりでオナニーという黒帯オナニストかつ、強制食糞に異常な情熱を燃やすゴールドセイント(黄金性闘士)で、とにかく何が何でも強制食糞させたくて必死こいてるシーンはなんか笑う。

前作およびムカデ人間という作品そのものの問題点として、ムカデ人間が完成した時点で話が終わってしまうというのがあるが、ムカデ人間の素材集めを一つ一つ描き、ムカデ人間の完成時間を遅めに設定し、なおかつムカデ人間完成後はゴア描写を見せるというのが、ムカデ人間完成後問題へのこの映画の対策であった。
映画にはまっただけのチビデブハゲがムカデ人間を創造しようとしているだけなので、勿論医学知識や設備など無く、もの凄いブルータルなやり方で手術を行う。当然麻酔などはなく、ハンマーで歯を叩き割り、膝の筋とケツの皮はこんな感じかなと目分量で引き裂き、ケツと口の縫合はホッチキスという、目を背けたくなる、気持ち悪くさせる描写が、特にラスト30分以降叩きつけられる。この映画が提示するのは目を背けたくなる、気持ち悪くさせる、もっと言えば不快にさせるものを自覚的に見せてくる。観る者の気持ちを逆なでしてやるという気概で作っているということは、妊婦が車に乗り込んで発進させるシーンなどを観れば明らかだ。この映画の監督の最新作のThe Onania Clubの予告編を観てみたが、ババアが911の映像をオカズにオナニーしていた。観客に対するこれでもくらえの精神は健在のようだ。
三樹夫

三樹夫