第43回カンヌ国際映画祭特別表彰を受賞した、ユダヤ人孤児たちを救済し、自らもホロコーストの犠牲となった実在のユダヤ人医師「ヤヌシュ・コルチャック」の生涯を描いた本作。主人公は二百人近いユダヤ人孤児を預かる施設の人望のある院長。第二次世界大戦が勃発し住んでいる街にもドイツ軍がやって来て、執拗なユダヤ人迫害が始まる物語。監督は名匠アンジェイ・ワイダで、ぶれない視線で描いているのだが、その中にドラマ性・戦争非難を盛り込む演出手腕は見事。細かいセリフの中に戦争に対する主人公の考え方が伝わり、子供達の純粋な表情と必死で生きる姿の健気さがリアリティを増していく。ラストシーンも秀逸で、
「まるで歴史の1ページを見ているよう」
な素晴らしい作品でした。