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初恋のきた道のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

初恋のきた道(1999年製作の映画)
4.3
都会で暮らすユーシェンは、父親の訃報を聞き、遥々母のいる小さな農村へと帰郷した。父はこの村の小学校を40年以上、一人で支えた教師だったが、校舎の建て替えの陳情のために町に出かけた際に、心臓病で急死したのだ。
父の遺体を町からトラクターで運ぶという村長たち。だが、母のチャオディは、伝統通りに葬列を組み、棺を村まで担いで戻ると言い張った。葬列を組もうにも、村の若者は出稼ぎに出て人手が足りない。困り果てたユーシェンは、母と父の、若かりし日の出逢いを追想する。
母のチャオディが18才の頃に、この村に初めて小学校が建つことになった。町から来た教師は、20才の青年チャンユーだった。一目ぼれしたチャオディは、自分の数少ない服を、急いで赤から華やかなピンクに着かえた。古い時代のこの村では自由恋愛は稀で、アピールの方法もなかったのだ。
総出で校舎の建築を始めるユーシェンと村の男たち。女たちの役目は家で昼食を作り、持ち寄ることだった。チャンユーが食べるとは限らないのに、心を込めた料理を作業現場に運ぶチャオディ。学もなく、素朴な彼女に出来ることは、水汲みやキノコ採りの際にすれ違うことぐらいだった。
実はチャンユーも、村に着いた時に見た、赤い服のチャオディが目に焼き付いていた。だが、チャンユーは文化大革命の混乱に巻き込まれ、町へ連れ戻されることになった。チャオディに、赤い服に似合うヘアピンを贈り、村を去るチャンユー。
高熱があるのに、チャンユーを探しに町へ行こうとして倒れるチャオディ。二日間、眠り続けたチャオディが目覚めたとき、小学校から授業をするチャンユーの声が聞こえて来た。チャオディの病気を伝え聞いたチャンユーは、連れ戻されるのを覚悟で、許可も受けずに町から戻って来たのだ。
追想から覚めたユーシェンは、町から続く道が持つ母にとっての意味に気づき、村長に無理を言って葬列を組んだ。息子や教え子たちと共に、夫の遺体を村へ連れ帰るチャオディ。都会に戻る前にユーシェンは、建て替えの決まった古い校舎で一度だけ授業を開くのだった。
アジアンビューティー・チャン・ツィイーが、ブレイクするきっかけになった傑作ラブストーリー映画。
チャン・ツィイー演じるチャオディが、都会から来た若先生に一途な恋心をアピールする一挙一動にキュンキュンさせられる。村人と新しい学校を建てる若先生に美味しい料理を差し入れたり、若先生に可愛いと思ってもらえるように赤色の服を着て若先生を待ち伏せたり、若先生の好物がきのこ餃子が好きだと知ると一生懸命届けたり、若先生に向かって一生懸命走るなど、チャン・ツィイーの一挙一動が可愛い。文明と共に失われるものに対しての哀惜の想いも込められた傑作ラブストーリー映画です。
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