コーカサス

地獄への道のコーカサスのレビュー・感想・評価

地獄への道(1939年製作の映画)
3.6
“アメリカ合衆国の歴史上で、最もいまいましく、憎たらしく、魅力的な男”

幾度となく映画化されている西部開拓史に実在した伝説的無法者ジェシー・ジェームズの半生を描いた傑作西部劇。

本作が公開された1939年と云えば『風と共に去りぬ』『オズの魔法使』『駅馬車』『スミス都へ行く』など、数多くの名作が発表された“当たり年”だが、これら名作に引けを取らない隠れた逸品と云えるだろう。

何と云っても、DVDパッケージにもデザインされているジェシー(パワー) が列車の屋根を中腰で走る姿がカッコいい。
また、そのジェシーと兄フランク (フォンダ)が馬にまたがりガラス張りの陳列窓に飛び込むシーンや、馬に乗ったまま崖から河へ飛び降りるシーンなど、当時としてはかなり危険度の高いアクションに度肝を抜かれること間違いなし。

一方で、新聞社を経営するコッブ (ハル)が唱える社説「西部の地に法と秩序を望むなら、まずすべきことは○○を一人残らず銃殺することである」の、次々変わる○○が実に滑稽だ。

アメリカ史上 “最も偉大な無法者”と “最も卑劣な暗殺者”。
社説には散々悩まされた?コッブだが、誰よりもジェシーを知る彼ならではの弔辞は見事に尽きる。

20 2021