TAK44マグナム

食人族のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

食人族(1981年製作の映画)
4.0
この世の中には色々なゾッキーが存在しますよね。
竹の子族からジュリアナ族、カミナリ族にローリング族、そして犬神家の一族なんていうゾッキーも居りましたが、アマゾンの前人未踏の奥地には、人肉が御馳走だと言ってはばからない食人族が存在しているのです!

一時はブルーレイ発売中止という憂き目にあい、どうなることやらと思いましたが、ついに手元に届きましたよ。
そして、HDワイド版になった食人族を鑑賞。

・・・結果、「本当の野蛮人は文明人の方だった」という、普通だったら隠し味程度にしておいて、あとで「そういやあの食人映画、実は深いテーマ性をもってたんだなあ」とか、したり顔で語っちゃったら格好いいぐらいの奥ゆかしさで済ますところを全開でひけらかしているところが一周回って格好いい映画でした。

「緑の地獄」と称される、食人族が闊歩するようなジャングルの奥地を取材するために旅立った無謀すぎる4人の若者が消息をたちます。
その行方を追うために人類学者のモンロー教授が雇われ、危険な地域へと足を踏み入れてゆきます。
なんとか原始的な部族の友好をとりつけた教授は、ついに4人が撮ったフィルムを発見、それを持ち帰るんですね。
テレビ局のお偉方は、「これは貴重な映像で視聴率もガッポガッポだから是非放送しよう!」とアホな事を抜かしますが、映像を確認した教授は「中身をみてから言ってみろ」と、お偉方と一緒に上映会を敢行します。
はたして、そこに映っていたのは信じられないほどに残酷な所業の数々だったので、お偉方は黙ったまま試写室を出て行ってしまったとさ。

・・・という内容なんですが、何といっても肝となるのは後半の「撮影フィルムの中身」なんですな!
今回のBD発売中止騒動でも有名になった「亀の解体ショー」も出てきます。
本物の亀をナイフで解体しちゃう、どんよりとした気分になれること請け合いな場面です。
監督は「ちゃんと食べたんだから問題はない」と言い張っておりますが、やはり本物の動物を使うのはどうかしちゃってますね。亀だけじゃなくて、ネズミや豚やサルも酷い目にあうし。

食人族が食人族たる食人場面も当然、はっきりと人間解体が映し出されます。
さすがにこれはフェイクですけど(そうでなかったら大問題どころの騒ぎじゃないんですが、当時は実際の本物映像と宣伝したので信じた人もいたらしいです)、16ミリフィルムで撮っているので逆に妙にリアル。
4人組も捕まってしまい、バラバラ、チョンパ、何でもありの殺人満漢全席DEATH!
チンポもチョンパされるようなトンデモ映像の数々!
これをノンフィクションとしてテレビで放送しようっていうのは土台無理ってもんでしょう(汗)。

ブラブラしたチンチンやヘアーも包み隠さず、ノー・モア・ボカシでしたが、セックス描写とかサービスで入っていても、そういうのよりもゴア描写の方が強烈すぎて、ボカシなしのエロだろうと、残酷の前では霞んでしまいますね。

更に気になったのは、残酷場面のたびに「ジャーン」と挿入されるBGMや、人間が解体されているっていうのに流れるBGMが変にのどかだったりと、使われている音楽も印象に残ります。

やりたい放題の蛮行を重ねたヤラセ上等のバカ撮影隊が、やりたい放題にやられて喰われるだけのお話ですが、フェイクドキュメンタリーの体裁をたもったモンド映画の草分け的存在であり、芳醇で異様な迫力を濃厚に楽しめる体験映像と言えるでしょう。
こんな首チョンパ映画が普通にテレビでバンバン宣伝されて、映画館のある町中にポスターが貼ってあったあの時代って素晴らしく能天気だったんだなあ・・・と、80年代をしみじみ懐かしめましたよ。

血の滴るようなステーキでも平らげながら観れば、何となく疑似体験ができるかもしれません(苦笑)


セル・ブルーレイにて