2002年版の『レッド・ドラゴン』よりもキャラクターやテーマ性はよく描けていると思う。主人公と犯人の思考が同化していく様子がよく描かれている。レクター博士もアンソニー・ホプキンスとはまた違う、いやらしさや憎々しい感じが個人的には気に入った。ダラハイドの内面をもう少し描いて欲しかったが、見た目のインパクトは非常に強い。
ただ、基本的に地味な場所での地味な会話が多いので、少しビジュアル面で弱い印象。静かでジワジワとした緊張感ならいいのだが、所々に出てくる80sロックによってかき消されてしまっている。蛇足とはまさにこのこと。最後までもっと静かで不気味な雰囲気にしてたらもっと映画に入り込めたかも。
個人的には『レッド・ドラゴン』の方が好みだが、こっちはこっちで独自の魅力を持っている。あまり知られていないのがもったいない良作だ。