うえの

12人の優しい日本人のうえののレビュー・感想・評価

12人の優しい日本人(1991年製作の映画)
3.5
もし日本に陪審員制度があったとしたら、、
一つの傷害事件を題材に展開される12人の陪審員たちの議論を面白おかしく、しかし緻密な検証とともに描いた、名作「十二人の怒れる男」の日本版オマージュ作品。

主に舞台作家や放送作家として活躍していた三谷幸喜が初めて映画に関わった作品かと思う。
今作以降の三谷作品の代名詞ともいえるであろう密室劇や会話劇を得意とする作風や演出の片鱗を覗かせるうまい作りの作品だった。
12人もいる出演者が誰1人余すことなく癖の強さや勘の鋭さを言動や身振りを通して表現し、徐々に深掘りされていく一つの事件をたっぷり2時間近く考え抜くといった内容になっている。

ただ話を2時間膨らませるきっかけとなった相島一之の話し合いましょうが流石にクドかった笑。
どうしてそこまで被疑者の女性を憎むのか、そのバックボーンとなる彼の苦い経験も後半に明かされるため理解はできるが、ボキャブラリーと説得力がなさすぎる。
もう少し冷静で論理的なキャラクターで話を引っ張っていってほしかった。こういったストーリーを引っ張るキャラクターとしては彼はあまりに感情的すぎた。
ただそれを帳消しにするレベルで後半のトヨエツが美味しい笑。
突然の弁護士設定とやたらと説得力のある話回しで後半の怒涛の展開を引っ張っていた。だからトヨエツが話し出すまでは我慢してみてもらいたい笑。それまでも面白いが笑。

また名作「十二人の怒れる男」のオマージュということもあり、走るスピードの速さ問題や死ねという発言に果たして殺意はあるのか問題などの知ってれば盛り上がれる演出が盛りだくさん笑。
観るならば是非オマージュ元の作品も観てもらいたい。
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